【第596回】 季節を楽しむ

長年、外国との仕事に携わった関係で、外国の良さと日本の良さがある程度わかる。人が住んでいる所は、気に入らないところもあるが、必ず他にないような素晴らしいものもある。
また、年を取ってきたせいか、日本の良さがますます見えてくるようになった。以前から、日本の若者には言っていることだが、日本ほど素晴らしい国はない。特に今の日本の若者は、あまり外国に興味がないとのことで残念である。残念な最大の理由は、外国を知らないということは、日本の本当の良さが見えない、分からないという事だからである。

日本の素晴らしい事の一つに四季が楽しめる事がある。日本ほど四季の文化があり、四季を楽しんでいる国はないだろう。その季節を楽しむとともに、その季節の旬も楽しんでいる。また、日本人はその季節を衣食住で楽しんでいる。

四季の文化には、その典型的なものに俳句であり、その季語である。また、日本の童謡は四季が美しく、そしてやさしく歌われている。
また、日本各地のお祭り、花火大会、七夕まつり、雪まつりなどもある。
こんなに四季の文化を楽しんでいる国はないだろう。

四季を衣食住でも楽しんでいるが、まず、衣である。
洋装は他の国と同様、季節によって多少変わるが、他の国と本当に違うのは、日本独特の衣である着物文化である。季節によって着物の素材や色・柄が変わる。それに合わせて、帯やハンドバッグなども変える。お茶会などでは、その季節に合った着物文化を楽しんでいる。

四季の着物は着物屋や高級デパートで見ることができる。買うことは難しいが、見るだけでも楽しめる。
しかし、季節の衣服を見て楽しむのは、ブティックがいい。それもブティックの売り子さんのファッションである。彼女たちは季節のファッションの先取りをし、季節ごとに変えている。外国では、売り子さんはそれほど着るものを変えていないはずである。
余談になるが、女性のファッションは分からないし、商品も分からないので、お店の売り子さんのファッションを、通りすがりに見て、ファッションの移り変わりを楽しむことにしている。

次に食べ物である。日本は四季ごとの食べ物が多い。ドイツなどで、私が知っている四季の食べ物は、ホワイトアスパラガスぐらいである。そこにいくと、日本には四季ごとに違った、魚、野菜、果物が豊富にある。また、地方にはわれわれ都会人が知らないような四季の食べ物があるだろう。

魚屋を覗けば、四季の魚、果物や野菜やでは四季のものが並び、威勢のいい売り子がその時に相応しい食材をすすめている。
本格的な和食店、割烹店、すし屋などでは季節のものが堪能できる。食べ物は季節のモノを食べるのをよしとしているので、日本はつくづく有難く、素晴らしいと思っている。

日本は季節を楽しめるよう、季節と一緒に暮らせるよう、恵まれた国である。
これに感謝し、季節を十分に楽しみたいものである。
合気道の稽古でも、暑いとか、寒いとか不平を言わず、暑さを楽しみ、寒さを楽しめばいい。四季の稽古を楽しめばいい。