【第409回】 100歳スイマー

人は125歳まで生きることができる、といわれている。その根拠は、動物は成長期の3倍生きるから、であるという。人の成長期は25歳ほどなので、3倍の125歳が寿命ということになる。

ひと昔前までは「人生50年」といわれていたし、60歳は還暦、70歳は古希などとお祝いをしたほどであった。それが、最近では日本人の平均寿命は80歳以上で、それも年々上ってきている。100歳以上の方も3万人以上である。125歳まで生きるのも、夢でなくなってきているようだ。

100歳以上の方の多くは寝たきりや病気などで、若い時のような生活はしてないのではないかと思われる。それでも、100歳以上で若者も目を見張るような活躍をされている方々もいらっしゃるのである。

80歳から泳ぎをはじめ、95〜99歳部門で11個の世界記録を持つ、1914年生まれ(大正3年)の長岡三重子さんは、今年から100〜104歳部門に移り、新たな記録に挑んでいる。背泳ぎ専門では、自由形100mから1500mまでの5種目で世界記録を樹立している。

このため長岡さんは、今も1日3時間の練習を週に4回続けており、一日に泳ぐ距離は、1500mにのぼるという。

合気道の稽古をしている我々若輩者でも、これだけ稽古をしている者は、専門家以外にはほとんどいないのではないだろうか。若い内でさえそうなら、100歳になってやるのはもっと大変だろうし、だいたいは諦めるだろう。

だが、合気道家も100歳以上でも稽古を続けていくようになりたいものである。技をかけ、受けを取るのを、100歳合気道家としてやっていくのである。

100歳合気道家になるためには、まず、その可能性を信じることであろう。自分ができなくとも、後進が挑戦してくれれば、何時の日にか100歳合気道家が出てくるだろう。ただ、そのための努力と準備を自分もしなければならない。

100歳スイマーの長岡さんは、そのための努力を見事にやっているようである。例えば、練習を続ける以外に、練習するプールから自宅まで3キロ歩く。畑仕事、掃除、料理など、家の中の家事をすべて自分でこなす。食事は朝食からしっかりと取る。体力をつけ、体力を取り戻すには肉が一番よいと、好んで肉を食べる。大好物は、柔らかいカルビだそうである。

もう一つ、大事な秘訣があると思う。それは、心がけ、気持ちの持ち方である。彼女はいう。「幸福感があるから、長生きできる。能でも絵でも、何の舞台でもいいから、達成する場面をもつといい。」

我々の舞台は、合気道である。つまり、合気道で達成すれば、幸福感を得られ、長生きできる、ということだろう。そのためには、食事をしっかり取る、特に体をつくるたんぱく質の肉をとって、できるだけ足で歩く、などに注意しながら、稽古を続けることであろう。

100歳合気道家を目指そう。