【第40回】 細分化から統合へ

現代は、ビジネスでも科学でも、あらゆる分野が細分化する時代である。知識の社会、西欧主導型文化であり、また若者文化とも言える。

武道の世界でも、剣は剣、杖は杖、体術は体術と分かれて稽古している。昔、江戸中期頃までは、武芸百般といわれ、武士は戦いに必要な武術をすべて身につけるべく統合した修練をしていた。

合気道は武道の基と、開祖は言っておられた。つまり、合気道は統合武道ということもできる。従って、合気道は他の武道の基本を包含する武道であると同時に、合気道をやるということは、他のいかなる武道もある程度できなければならないということにもなろう。合気道をやれば体術だけでなく、剣をもてば合気剣術になり、杖を持てば合気杖にならなければならないとはよくいわれたものである。

ものごとを細分化して深く追求するのは若者にまかせておけばよい。高齢者はそういうやり方ではなく、これまでやってきた合気道の体の動きをもって剣を使い、杖を使い、筆を使い、武道、武芸を統合化していき、さらに合気道の理論や考えで仕事をし、社会と接し、世の中をよくしていくことができれば、ほんとうに素晴らしいことではないだろうか。やることは沢山ある。60、70才でも、まだまだやるべきことは数多くあるのである。時間を持て余したり、ボケている暇はないはずだ。