【第380回】 いろいろな世界

学校で勉強したり、社会で働いている間は、よほど努力しない限り、どうしても狭い世界で生きることになる。そのため、いろいろな世界があることを知らなかったり、あるいは関心がなかったりするようだ。

世の中は、ますます忙しくなっている。生きるために必要だと思う世界だけにいて、他の世界を知ろうとするような余裕はなくなってきているようである。

年を重ねてくると、だんだん世の中にはいろいろな世界があり、また、興味ある人間も多いことが分ってくる。自分の関わる世界を考えてみるだけでも、合気道の世界を筆頭に、それに関連する武道の世界、興味ある宗教の世界、学問の世界(科学、宇宙科学、考古学、天文学など)、芸術の世界(西洋美術、日本美術)、女房の関係の文学の世界、まだ関わっている仕事の世界(国内と海外)、それに関連して機械業界の世界、その報道関係の世界、かつての見本市関連(国内と海外)の世界、それに国内と海外の友人・知人との世界、などなどがある。

今はいろいろな世界に関わり、興味をもって首を突っ込ませてもらっているが、この基になる世界が合気道である。いうなれば、合気道のお陰でこれらの世界と関わるようになり、興味を持つようになったのである。

もし合気道の世界に入っていなければ、ドイツの友人との本部道場での出会いはなく、ドイツへ行くこともなかったろうし、ドイツ関係の仕事もしなかったはずである。また、今の女房ともドイツで知り合わなかったことになる。

合気道の世界を知らなければ、今とは全然違った世界で生きているだろうし、今のような気楽な生き方はしていないかもしれない。

いろいろな世界があるが、合気道の世界に入れて本当によかったと感謝している。お陰で楽しい人生を送らせてもらっている。

合気道からはいろいろなことを教わることができたし、これからもまだまだ教わることができるだろう。例えば、子供の頃からの課題であった「自分とは何者で、どこから来て、どこに行くのか」に答えてくれたのも、合気道である。

合気道はまた、まだまだ興味ある世界があることも教えてくれる。例えば、幽界、神界などである。なんとかその世界に入りたいものと思っているが、それができるかどうかは、己の修行によるだろう。

お世話になっている合気道へのご恩返しをしたいものだと思うが、まだまだ未熟でお役に立っていないようだ。少しでもお役に立てるように、もっといろいろな世界を知っていかなければならないだろう。