【第338回】 人と植物

地球上には、多種多様な生物が生きているが、何故こんなに沢山の生物が存在しているのか、考えてみれば不思議ではないだろうか。
人間は食物を外から摂らなければならないので、鳥獣魚類や野菜果物の動植物は多少必要だが、なぜ食すことができないものまでこれほど多くのものが存在するのか、何か理由があると思う。

人は概して植物が好きだ。もちろん植物に関心がない人や、嫌われる植物もあるだろうが、人は花や木を植えたり、森林浴をしたり、花や木の観賞をする。

人がなぜ植物が好きなのかと問うと、人は植物に引きつけられるからだという。確かに綺麗な花が咲いていれば少しでも近寄って見ようとするし、花の匂いを嗅ごうとする。
しかし、人は綺麗な花が咲いてない草木にも近づきたがる。例えば、芝生に腰を下ろしたり、野原を歩いたり、森や林を散策したり、山を歩いたりする。

人が植物が好きで、植物に寄るのは、人が必要としているものを植物が提供、補充してくれるからだと考える。

その典型的なものは酸素と炭酸ガスである。
人は酸素を吸って炭酸ガスを出して生きているが、植物は炭酸ガスを吸って酸素を出してくれている。人は植物の傍にいれば、植物から酸素を補充してもらえるので爽快な気分になれるわけである。植物も人が出す炭酸ガスに喜んでいるはずである。
これは人類と生物が生存するときからの関係であるはずだから、長い時間が経っているわけで、人は本能的に植物に引きつけられるのだと思う。植物は足がないので人に近づこうにも近づけないので、人をお待ちするだけになる。

世の中のもの、つまり万有万物は、お互いに相対するもの、正反対なもの、異質なもの同士が結びあって、宇宙を構成しているのかもしれない。

男が女に引かれるのも、異質で相対するもの同士だからということだろう。
古事記で、「成り合はざる処一処あり」のイザナミ(女)と「成り余れる処一処あり」のイザナギ(男)とが一緒になって島生みと神生みをしたことになっている。

自分や自分たちと違うからといって、いじめをしたり、戦争をするのは愚かなことになる。違っているから、結ばれることにならねばならないだろう。
宇宙は万有万物を宇宙生成化育のためにそのようにつくられているようだ。