【第31回】 自分との戦いと感謝

他人との競争で勝つためにやるとか、他人と比較して、相手より上手いということで満足するような仕事をしていては、真に素晴らしいものは生まれない。競争というのはどちらかが勝つわけだから、相手が偶然弱かったか、強かったであり、本人同志では大事なことかもしれないが、部外者にとっては直接関係ないことでもある。

自分が心から納得し、人も共感するような仕事は、自分との戦いの姿であり、そこから生まれるものである。他人との戦いから、自分との戦いにギアチェンジし、自分のレベルアップをしていくとき、本当の戦いが始まる。これは終わりのない、そして絶対的な戦いでもある。

他人に勝つのも簡単ではないが、自分に打ち勝って行くのは非常に難しい。自分には嘘はつけないし、計略も通用しない。地道に一つ一つの壁を突破していかなければならない。繰り返し繰り返しやっていくと、自分ではどうしようもない問題にもぶち当たる。

しかし、その問題に真剣に挑戦していると、どこからかアイディアやソリューションが出てきて、その問題をクリアし、次に進むことができる。そういう繰り返しである。だが、アイディアやソリューションはじっと考えるから出てくるものではなく、散歩をしているときや、風呂に入っているとき、朝の目覚めのときなどに突然出てくることが多い。これは自分で考え出したものではなく、どこか他から来るもののようである。それがどこから来たのか考えると不思議である。これを「神」と言うのかも知れない。

他人との戦いから自分自身との戦いへと変わっていき、そして「神」への感謝と祈りをすれば、きっといい仕事ができるだろう。