【第212回】 疲労回復

前回は「疲労」について書いたが、今回は、その続きとしてその疲労を回復するにはどうすればよいのかを書いてみる。稽古が終った後、その疲労からどうすれば回復することが出来て、次の日までその疲れを持ち越さないようにできるかということである。

一般的には、休養・休息と栄養・水分が大事だといわれる。まず、稽古での休養・休息とは、稽古後のクールダウンということになる。

ただ、疲労困憊しているときの血液中から疲労の元締めといわれる乳酸菌を取り除く場合に、ただ寝たり、横になる安静状態(安静休息)でいるよりも、軽い運動(積極的休息)する方が、それを除去する速度は速いのだそうだ。従って、激しい稽古の後、そのまま帰ってしまうのではなく、ストレッチ運動でクールダウンする方がよいことになる。

次に、栄養と水分補給である。一般に、栄養のバランスは、糖質 70%、脂質 20%、タンパク質 10%などと言われるが、運動の量や体調に合わせて変えていけばよい。つまり、健康ならば、自分の取りたいものをとればいいはずだから、体の声に耳を傾ければいい。

しかしながら、食べたもので疲労が回復したとかしないということは、なかなか自覚できないものである。栄養補給と疲労回復の関係を知ろうとするならば、稽古をやっていて、調子がよい日悪い日があれば、前日に何を食べたのかを思い出すのがよいだろう。何か因果関係が分かるのではないかと思う。

食べ物と疲労回復の関係はよく分からないが、水分補給と疲労回復の関係は分かりやすい。以前にも、水は大事なので、稽古の後は必ず飲むようにと書いたが、最近、体でわかったことは、稽古で汗をかいた後、水をいくら飲んでも疲れは取れないということである。水やお茶を飲めば、喉の渇きは治まるが、体や筋肉の疲労は取れないようである。稽古の翌朝の目覚めもすっきりしないし、時として、寝ていて足がつったりする。

稽古を一生懸命やれば、真冬でさえ汗をかくものだ。汗をかくというのは、水分だけでなく、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルやカリウムやナトリウム等の電解質などが一緒に失われているわけだから、それらのミネラルや電解質も補充してやらなければ、血液や身体のバランスが崩れてしまい、疲労感を持つことになるのだろう。

汗をかく稽古をしたら、失われた水と共に、これらのものも取らなければならないことになる。それは、スポーツドリンクである。スポーツドリンクはスポーツなどの運動で、大量に失われた養分を補給してくれる飲み物なのである。稽古の前後にこのスポーツドリンクを飲むと、稽古の後もぐっすり眠れるし、寝ていて足がつることもなく、寝覚めもよい。

本来、あまり人工的なものは口にしないようにしているが、スポーツドリンクは他人(ひと)にも推薦するものである。とりわけ高齢者にはお勧めする。