合気道には壮大ともいえる思想と理想があるが、それを追求し、実現に近づいていくには、まずは合気道の形(かた)と技の稽古を一生懸命やることである。合気道の形と技が出来なければ合気道が分かったことにはならないし、形と技が出来る程度にしか、合気道が分かったことにならないと言えるからである。
形も技もただ回数を多くやればいいということではない。上達したければ、上達するように強く意識してやらなければ駄目である。合気道には試合はないので、自分の上達の程度や、上達しているのかどうかさえも分かり難く、よほど注意して稽古をしていかないと判断を誤り、上手くなったと錯覚してしまう。
技を上手くかけるためには、技をかける以前、つまり相手に触れる前に、やるべきことがある。例えば、
〇姿勢:半身で立ち、踵に支点を置き、膝の力を抜く
〇気の体当たり:気持ち(魂)を引っ込めないで、気持ちを相手にぶっつける
〇体の体当たり:自分の体(魄)を相手の体にぶつけるように進める。逃げたり、よけたり、相手を回ったりしない
開祖は、合気道は二つの魂魄が正しく整った姿の「天の浮橋」に立たなければならないと、よく言われていた。
〇息を腹に入れ横隔膜を下げ、尾てい骨を倒す
〇間合い:一足一打の距離に身を置く
〇角度:相手の中心と自分の中心をむすぶ線上に身を置く。相手の力をまともに受けない角度のところで技をかけるように移動する
〇合気:相手と触れた瞬間に相手とむすび、無力化する
〇相手が倒れるイメージを持つ
ここから技をかけて相手を崩し、倒すのである。
技は相手に触れてからはじまるのではなく、技をかける前に始まっていなければならない。