【第606回】  船こぎ運動

開祖の晩年の5年間ほど本部道場でほぼ毎日稽古をしていたが、今の稽古と違うところの一つに準備運動がある。
当時、稽古の前の準備運動は基本的にはなく、準備運動代わりに、転換運動、一教運動、呼吸法などをやっていた。

合気道の稽古も大分変ってきたが、時代が変わり、稽古人もかわるので仕方がない事だろうし、準備運動が行なわれるのも当然なのだろう。

合気道でも、技の稽古だけでなく、準備運動もやるなら徹底的にやるべきである。徹底的とは、己のできる限界まで伸ばすということになる。勿論、限界まで伸ばすためには、息づかいも限界までしっかりやらなければならない。 ただし、準備運動は、筋肉をつけるのではなく柔軟にするためのものである。筋肉をつけ、力を出すための形稽古のための準備運動なのである。

準備運動も一生懸命にやれば、そこからいろいろ大事なことが身に着く。換言すれば、大事な事を発見し、身に着くように準備運動を徹底的にやらなければならないということである。初心者は得てして、形稽古で相手を投げる事、決める事と、技を掛ける事にだけ重きを置いているが、受け身、そして準備運動からも大事なことが学べる事を知り、実践していかなければならない。

準備運動のひとつに「舟こぎ運動」がある。今回は、この「舟こぎ運動」から学べる事を研究してみたいと思う。次に、それを列挙してみる。

これからも「舟こぎ運動」を続けて行けば、更なる学びがあるはずである。