【第533回】  上達の秘訣の基本 その1.「体をつくる」

これまで合気道や合気の技の上達の秘訣について書いてきているが、ここでこれまで考えてきた上達の秘訣を簡単にまとめてみたいと思う。
錬磨している技が上達するためには、どうしても、身につけたり、鍛えたり、従うべく法則などの基本的な要因があるわけであるが、ここではそれを上達の秘訣の基本ということにする。上達の秘訣の基本にはどのようなものがあるのか、そしてそのためにはどのような稽古法が最適なのかを見てみたいと思う。

上達の秘訣の基本も無数にあるはずだが、今回は次の三つの要因のテーマに絞り込むことにする。その要因テーマは、1)体をつくる 2)体のつかい方  3)息づかいである。少なくとも、これらの要因の一つでも欠けたり、身についていなければ、いい技をつかうことは難しいはずである。
このテーマを3回に分けて書いてみることにする。

第一回は、「体をつくる」である。一つ目の上達の秘訣の基本である。まずは、合気の体をつくらないと、合気の技はつかえないからである。

1.肩を貫く:
それではどのような体をつくらなければならないかということになるが、まずは、肩を貫いた体をつくらなければならない。「肩を貫く」が秘訣の基本になる。これは非常に重要な要因であるが、その修得は中々難しいようである。
そしてこの「肩を貫く」の最適な稽古法としては、
◯徒手での正面打ちと横面打ち
◯木刀での正面打ちと横面打ち
を息に合わせて、十字で繰り返し稽古することであろう。

手先と腰・腹を結ぶ:
手先と腰腹を結び、腰腹で手をつかい、動かすようにしていくと、手先と腰腹がしっかり繋がってきて、腰腹の力が手先に集まるようになるから、技が効くようになってくる。
このための最適な稽古法は、
◯座技呼吸法
◯片手取り呼吸法
等であろう。

3.股関節を柔軟にする:
股関節が硬いと体重が十分に活用できないので、大きな力が出ず、技も 効きづらくなるので、股関節は柔軟にしなければならない。
このための稽古法としては、
◯座技呼吸法
◯片手取り四方投げ
◯正面打ち入身投げ(特に、裏)
◯片手取り呼吸法
等が最適と考える。

4.手刀を鍛える:
手の小指の下のところにある「手刀」とその下にある尺骨部を刀の刃のようにつかえるようにしなければならない。なまくら刀にならないよう、刃筋が直角に通るようにつかえるように鍛えなければならない。その手に剣を取れば、合気剣となるようにならなければならない。
手刀を鍛える稽古は、普段の形稽古でやっていかなければならないが、次の稽古や形稽古だと分かりやすく、身につきやすいと考える。
◯徒手で、米(こめ)に手の素振りをする(正面打ち、切り上げ、左から右 下への袈裟切り、右下から左上への袈裟での切り上げ、右から左下への袈裟切り、左下から右上への袈裟での切り上げ、手を腹の位置まで横に下げ、右から左に胴を切り、左から右へ胴をきり、そして手を腹の前に置き、突く)
◯正面打ち一教
◯横面打ち隅落とし
◯交差取り二教

まず、合気道の体づくりが大事である。
次回は、「体のつかい方」について書く。