【第53回】 得意技をつくる

合気道の道場の稽古ではいろいろな形(一教、四方投げ等の規範動作)を通して技(足捌き、手さばき等の技術)を磨いていくが、上手くいくものといかないものがある。上手くできるものは得意"形"になり、上手くいかないものは苦手"形"になる。

得意"形"は自分の平均のレベルより上手くできる"形"であろう。それは、四方投げだったり、入身投げだったりする。もちろん、得意"形"であるということは、そこで駆使される"技"が上手くいかなければならない。つまり、得意"形"ということは得意"技"ということにもなる。逆に考えると、得意"技"ができるので得意"形"ができるということになる。

若いうちや、段が低い間は、自分の得意"形"のレベルアップをするのがよい。自分に合っているし、好きだろうから、上達も早い。得意"形"例えば、四方投げがレベルアップすることは、そこで使われる技がレベルアップすることになるので、他の形でもそのレベルアップした技を使えば、その形もレベルアップすることになる。つまり、ある技がレベルアップすることは、その技を使える他のすべての形に及ぶことになるので、無限の可能性の扉を開くことになると言える。その扉を開くために、その技を得意"形"でレベルアップするのがよい。

四方投げでもよいし、他の基本形でもよい。一番好きな、一番やりやすい形がよい。そして、その形を繰り返し繰り返し、一回でも多く稽古するのである。稽古に行ったら、稽古終了後の自主稽古でかならず稽古することが大切である。最低一年ぐらいは続けなければならないだろう。一回でも多くやれば、それだけ多くの発見があり、体もできてきてくるので、高段者になってくるとその成果がものをいうことになる。

高段者になったら、今度は意識して不得意"形"および不得意技を稽古すべきである。高段者になって一教、二教、三教などがまともにできないのは恥ずかしいかぎりである。高段者は底上げ、初心者は得意技のレベルアップをするのがよいだろう。