【第42回】 先ずは道をつける

合気道とは合気を探求、修練する道である。合気を求めて、合気に向かって修練することである。しかし、合気が分からなければ、それに向かって進むことは出来ないわけだが、合気道を修行している人で、合気がはじめから分かって稽古している人はほとんどいないだろう。しかし、大事なことは合気を求めて稽古をし、すこしでも早く合気を自得することである。そして合気が分かってはじめて、本当の合気の道の修練ができることになる。

合気道には、もっと小さい細い道もある。例えば、小手返しという技や呼吸法という基本的な技や鍛錬法などがあるが、小手返しであれば、小手を返す技であるわけだから、小手が何処なのかが分からなければ、いくら小手返しの稽古をしても小手返しはできない。まず、小手を知り、小手を返すということを知らなければならない。まずこの道を敷いた上で、はじめて小手を返す稽古をする意味ができるので、それから何度も繰り返して稽古していけばいいのである。

また、呼吸法であるが、呼吸法とは呼吸力の養成法であるので、呼吸や呼吸力という対象がわからなければ、稽古のしようもない。まず、呼吸とはなにかを探求し、自分なりにこれではないかと思ったら、そこに道を敷き、その道を修練していけばいい。これが稽古というものであろう。

対象もなく、道を外れた稽古はあまり意味がない。初心者はともかく、有段者は、対象を定め、道をつけ、その道で稽古をすべきである。