【第383回】 相手が倒れない原因

合気道は、通常、相対で技をかけ合いながら、技の練磨をしていく。だが、なかなか思うようには、できないものである。思うようにできないということは、技をかけても相手が倒れてくれなかったり、相手にぶつかって動きが止まったりしてしまうことである。

長年、稽古していると解るものだが、技がうまくかからず、相手が倒れてくれない原因は、ほとんどの場合、受けを取る相手ではなく、技をかける自分にあるといえるようだ。要は、相手が受けを取れないようにやっている訳である。

合気道の稽古は、強い弱いの勝ち負けの稽古をしているのではない。受けは気持ちよく受けを取ろうとし、技をかける相手のやり方を勉強するつもりで受けを取っているであろう。だから、理論的にはうまくいくはずである。しかし、その受けの期待に応えなかったり、平和な思いを乱すことになると、相手が倒れてくれない訳である。

平和を乱す理由は無数にあるが、以下にいくつか書いてみよう。

ふしぎなことに、上記のことに違反しないような動きで技をかけられると、上級者、初心者に関係なく、一瞬に気持ちよく技がかかるものであり、思わずやったね、とほめてやりたくなる。

もちろんのことだが、筋肉、肺や心臓など、体がある程度鍛えられていなければ、相手はなかなか倒れてくれないものである。まずは、体を鍛え、力をつけなければならないのは、いうまでもない。