【第315回】 技稽古 その1 序

合気道の形稽古は、老若男女だれにでもでき、難しいものではない。形があるので、その形を繰り返して稽古すれば身についていく。しかし、前回「形稽古から技稽古へ」に書いたように、形稽古だけでは強い力に制せられてしまったりすると壁にぶつかり、先へ進めなくなってしまうことになる。

従って、合気道をさらに精進するためには、形稽古から次の段階の技稽古に移行しなければならない。

もちろん技は形稽古の形の中にあるので、形稽古は続けなければならないし、またその形稽古の中から技を見つけ、そして身につけていかなければならない。しかし、技は正面打ち一教などのような形(かたち)はないので、何が技なのか、これが技であるということは、難しいようである。

だが、技を身につけなければ先へ進めないのだから、形稽古で試行錯誤を繰り返しながら、何とか技にお近づきさせて頂き、技を解明し、身につけていかなければならない。

技は形がないので、「これだ」と明示するのはできないようだが、技は特別な働きや特徴をもっている。だから、それを満たし、形稽古で有効に働いてくれるものが技、ということになるのではないかと考えている。

例えば、技とは:

  相対稽古の相手に強い力で手首を握られたとき、その手を動かすのは難しいものである。 押しても引いても動かないし、争いになってしまう。相手の力が強ければ動かないし、同じ程度の強い力としても、動くものではないだろう。

この状態を脱却し、起死回生をはかることができれば、そこでつかったものが「技」ということになるだろう。

次回は、力以上の力が出、法則性があり、誰にでもできる「技」と考えるものを書いてみることにする。