【第199回】 技が効くための10カ条

合気道を修行している人は、技の鍛錬をして精進しているが、誰でも技を少しでも上手く効かせたいと願って稽古に励んでいるはずである。しかし、技はなかなか思うように掛からないものである。

技が思うように上手く掛からないのには、いろいろ理由があるはずである。初心者が考える理由は、相手が大きいとか力があるということだろう。自分が力や体力に頼った技遣いをしていれば、相手が自分より力があったり体力があると、上手く動けないし、技も掛からないことになる。力でやれば、相手も必ず力で対抗してくるからである。

相手が大きいから、重いからなどと言っているような段階では、技の形をなぞっているだけで、まだまだ技になってないと言えよう。相手が受けを素直に取ってくれているうちは、技の形は出来るが、相手が少しでも抵抗すると、動けなくなってしまうはずである。

初心者と稽古をしていても、この技遣いでは技は掛かりにくいだろうし、受け身も取りにくいなと思うことがよくある。技が効くためには、やるべきことややってはいけないことなどの条件があると考える。そのやるべき条件というのは、「技の技」とか「技要因」と言えるかもしれない。恐らくその条件は無数にあるようだが、ここではもっとも重要と思われるものを十だけ選んでみたいと思う。

一つ、手先と腰腹をしっかり繋げる
一つ、相手と結び、結んでから動く
一つ、手は体の正面に置く
一つ、肩を貫く
一つ、手は反転々々させながら遣う
一つ、はじめに相手と接している接点を動かさずにその対極から動かす
一つ、手足はナンバで遣う
一つ、手足を決して技の途中で居着かない
一つ、吸気で技を掛ける
一つ、地の足側の手を上げて遣わない。

これがないと合気道の技にならないし、技が効くための基本中の基本必要条件ということになるが、これが出来てもその技が上手く掛けられるという保証はない。なぜならば、前述のようにまだまだ必要条件があるからである。この十カ条は技が上手くいくための必要条件であるが、絶対条件ということではないからである。

技が上手く出来るためには、この十カ条はMUSTであると思うが、これ以外の必要条件の「技の技」「技要因」をどんどん見つけて身につけていくしかないだろう。