【第8回】 失敗からスタート

稽古で技をかけるとき、いつもうまくいくとは限らない。技にもよるし、相手にもよって、上手くいかないことがある。往々にしてそれでも相手を倒そうと力づくでやってしまう。そしてそれで満足して終わってしまう。これでは次も同じことを繰り返してしまうだけである。

うまくいかなかったら、何故、うまくいかなかったのか、どうすればいいのかを研究すべきである。そして次の稽古や自主稽古で、考えてきたことを試してみる。試してみても、その考えがうまくいくとはかぎらないし、相手によってできたりできなかったりするので、何度も考えては繰り返す必要がある。いま私は正面打ち一教を主体的に研究し、10年ほど試行錯誤しているがまだまだ自分の満足する技になっていない。しかし、自分が解決しなければならないテーマをもてば、先生や稽古人のやり方や動きが見えてくるし、本や雑誌を見てもヒントを得やすくなる。問題意識もなく、ただ漠然と稽古していればなにも見えてこない。

稽古は自分で問題を見つけ、対策を考え、稽古相手に試させてもらうことである。失敗させてくれた稽古相手に感謝し、その失敗を大事にすべきだ。