【第68回】 手先と腹をむすぶ

技を上手くかけるためには、力を有効に使わなければならない。下半身、腹などからの力を手先に通し、技をかけるわけだが、手が折れたり、手先がしっかりしていないと技はきかない。手先がしっかりするとは、手先と腹がしっかりと繋がり、結んでいることである。従って、相手が手をつかんできても、腹をつかんだことになる。手先で技をかけるわけだが、動かすのは手先と結んでいる腹を動かすことになる。腹から、力を手先に出すわけである。

折れない手、腹と結んだ手をつくり、それを鍛えることは、合気道のすべての形できるし、すべての形の稽古でやらなければならないことだが、特に、そのための鍛錬に相応しいものには、次のような形がある:

〇 転換法
〇 片手取呼吸法
〇 諸手取呼吸法
〇 片手取四方投げ
〇 片手取隅落し

ただし注意しなければならないのは、手先と腹を結ぶことを意識してやることでやる。目的意識を持たずにいくら稽古しても上達はない。

手と腹が結んでいないフラフラした手では、力が手先に集まらず、相手に技をかけても返されてしまう。また、腹としっかり結んだ手でないと、力を出そうとしても手だけの手さばきになってしまうことになる。手と腹をしっかり結ばなければ上達はないし、先へも進めない。手先が腹の一部になるように、上記の形を何度も何度も稽古するのがよいだろう。