【第643回】 体も十字に働いている

人の心体は宇宙を模した擬体身魂であり、然るによって、人はミクロコスモスともいわれるわけである。
宇宙は十字で営んでいるといわれるから、人の体も十字で機能するようにできているはずである。
これまでは手の十字、腰の十字、足の十字(撞木足)などで、体も十字につかわなければならないと書いてきたが、今回は更なる体の十字を研究してみることにする。
相対稽古で業をつかうに当たって体の働きを観察すると、体が縦と横の十字に構築され、そして働いていることがわかる。

  1. 体を地に落すと、踵が地に着き、踵から足底の小指球、母指球と体重が横(地に沿って)に移動し、母指球で足底に掛かった体重が縦に地に下りると、他方の踵が地に着き、体重は地に縦に下り、そして1同様、踵から小指球、母指球と横に流れるを繰り返す。
  2. 一方、地に下りた力の抗力が足底から腰まで縦に上がり、股関節のところで横に移動し、
  3. 腹のところで胸鎖関節まで縦に上がり、
  4. 胸鎖関節で横に肩まで流れ、
  5. 肩から手先まで縦横自由に流れる。ここで技がつかえることになるわけである。
これを簡単な図で示すと下記のようになる。
この縦横の流れは、体重の流れであり内的エネルギーである気の流れでもある。
この体重・力と気の腹からの移動を簡単に示すと:
下:腹⇒(横)股関節⇒(縦)脚・踵⇒(横)小指球・母指球
上:腹⇒(縦)胸鎖関節⇒(横)肩⇒(縦・横自由)腕・手先

この体の十字の働きに従って、体と技をつかわないと、力もでないし、技も掛からず、そして体を壊すことになる。
これも合気道が十字道といわれる所以であろう。