【第558回】 体をつくるとは

体をつくるにはいろいろな意味があるだろう。目標によっても違うし、スポーツなどの種目によっても違う。ここでは勿論、合気道の体をつくることである。
合気道の体をつくるとは、合気道の技をつかえる体ということになろう。合気道の技は宇宙の営みを形にしたものといわれるから、宇宙の営み、宇宙の法則に則って動ける体をつくるということになる。

体をつくるに当たって、まず意識しなければならない事は、体は体自身では動けないということである。
体が動くためには、意識(心)が働かなければならない。しかし、体は意識で動いてくれるが、心が指示した通りには中々動いてくれないものである。それは、稽古で誰もが体験しているはずである。自分が思った通りに手足や体が動いてくれれば、みんなすぐ名人になれるだろう。

通常の生活では、心で思って体に動いてもらえば十分だが、武道ではそれが通用しない。心と体は異質であり、心と体の結びつきは弱いのである。
異質な心と体をしっかり結びつけ、心の思うように体を的確に動かすようにするのは「息」である。体は息によってつかわなければならないのである。
従って、合気道の体をつくるのも息・呼吸ということになる。

体をつくるもう一つの意味は、一般的に、筋肉をつけたり、体力をつけること、内臓臓器を丈夫にすること、血液やリンパの流れを良くしたり綺麗にするなどがある。
合気道での体づくりには、剛柔流の思想がある。体も剛柔流なのである。体は柔らかくも硬くもならなくてはならないということである。体が柔軟になることであるといっていいだろう。

体が柔軟になるとは、柔らかいのと硬いのとの差が大きいことである。どちらか片方のみとか、その差が小さければ柔軟性に乏しいので、技は上手くつかえない。だから、体をより柔らかくも、そして剛にも鍛える必要がある。これも大事な体づくりである。

次回は、「息で体をつくる」をテーマに書くことにする。