【第402回】 体に芯をつくる 〜その1〜

合気道での稽古で、卓越した師範や先輩と初心者とをくらべてみると、外見からもすぐにわかる身体の大きい差として、体に芯が通っているかどうか、があると思う。前者は体に芯が通っているから、体の力が手先まで通るのである。だが、初心者は体に芯がないので、力が無駄になり、技も効かなくなるわけである。

体に芯があるとは、体の各部位が折れ曲がらずにつながり、連合していることだと考える。人の体は、関節と関節の間が独立して動くようにできている。これは、日常生活での動き、つまり、軽いものを持ち運びする時などには都合がよい。だが、相手の力に負けないように、自分の力を最大限につかわなければならない武道の場合には、全身の部位が結び繋がった、芯のある体でなければならないのである。

体に芯をつくり、芯の通った身体にしていかなければならないことになるが、どのようにすれば芯ができていくか、を考えなければならない。

まず何よりも、自分の体に芯をつくらなければならないと自覚することである。
稽古の目標設定である。目標を持たず、目標を目指さないような稽古をしていたのでは、上達はない。

芯の通った師範や先輩を見ると、足の先から頭のてっぺんまで芯が通っているのがわかる。開祖の映像を見ても、それがわかるだろう。立ち姿、坐られているときの姿、いつでも必ずびしっと芯が通っているのである。技をかけている動作のいかなる時も、体が折れたり、曲がったり、ねじれたりしていない。指先はまっすぐで、手の先まで芯が通っているのである。

それに比べて、初心者やわれわれ未熟者のほとんどは手の指先まで力が流れず、指が真直ぐでなく、ゆるんでいるのである。もっとひどいのは、前腕、上腕までもゆるんでいる。

どうやら体の芯は、体の中心部(腰腹)から、体の末端に向かってできていくように思える。とすると、指先まで芯ができ、力が伝わるようになれば、体に芯ができたことになるといえるだろう。

芯をつくっていく方法にもどろうと思うが、分量が多くなりそうなので、次回にすることにする。