【第400回】 足も△〇□で

手の使い方も、左右陰陽に螺旋で使うなどと難しいものであるが、足の使い方はさらに難しいだろう。特に、体の力を有効に使うためには、足から足へ、体の力を途切れさせることなく移動していかなければならない。足の使い方が悪いと、プツプツと切れてしまったり、両足が居ついて手だけバタバタと動かすことになってしまう。

体重を一方の足から他方の足に移動する際は、その体重が切れ目なく移動するように、足を使わなければならない。切れてしまうと、いわゆるバタ足、バタバタ足ということになる。

通常の一般的な歩き方では、バタ足になってしまう。例えば、ハイヒールでカツカツ歩く時の足の使い方では、力も出ないし、安定性もないので、合気道には使えない。

さらに、通常の一般的な足使いとして足を直線的に使う、ということがある。踵から指先の方向へ向かって、歩を進めるのである。この直線的な足の使い方では、どうしても動きが切れて、体が揺れるし、力も出せないことになる。

これに対して、合気道の足の使い方は繊細で、理に合った、体の機能を存分に活かしたものである。つまり、合気道でいう△〇□によって使うのである。宇宙、地球をつくった三元を使う訳である。

では、足を△〇□で使うとは具体的にどうする事なのか、見てみよう。

  1. まず、△であるが、相手に向かって歩を進める際は、相手にぶつからないように、まっすぐではなく、斜めに歩を進める。いわゆる△に入る足使いである。
  2. 次に、進めた足が床に着くと、踵から小指球へ移動する。体重も踵から小指球、そして小指球から拇指球に移るわけだが、まず、体重が小指球から拇指球に移り、お腹は円を描くことになる。足(足裏)も〇で使われることになる。
    つまり、踵と小指球の縦の方向から、小指球と拇指球の横の十字に移動するので、十字の〇になるわけである。
    この足裏三点を移動する、つまり〇につかうことを、足を「あおる」というのだろう。 この足の「あおり」があるから、体の力が切れることなく、減ることなく移動し、技に使えるのである。
  3. ここで、他方の足を進めるが、進めた足と後ろの足は撞木になっていて、撞木にある二本の足と、前足と十字になった腹の線によって、□をつくるのである。前足の向く方向に腹も向けば、□の感じ、安定した感じが持てるはずである。
足を△〇□で技(気形の稽古)に使おうとしても、なかなか難しいものだ。どうしても相手を意識しすぎたり、相手を倒そうとするあまり、足のつかい方など忘却の彼方へいってしまいがちになるからである。

こういう稽古は、まずは一人稽古で身につけるのがよい。例えば、四股踏みや剣の素振りで、足を△〇□で使うようにやってみるのである。一人でやっても身につかないようなら、相対稽古で身につけるのも難しいことだろう。