【第40回】 足腰の裏筋(大殿筋、大腿二頭筋、脾腹筋)を鍛える

現代人はますます足腰が弱ってきている。街を歩いている人はほとんどが、足を引きずりながら歩いているようである。年をとればとるほど、足が硬直するので棒のようになり、足を引きずるか、チョコチョコ歩きになってくる。道場でも、このような通常の歩き方では、稽古でも技がなかなか効かないことになる。

武道的な歩き方とは、地に足が着いたとき地に密着し、そして地との反動でエネルギーが上がるが、それに同調して反対側の足が上がる、その繰り返しである。年をとってくると、足は地に着くが反発力がないまま反対の足が出て地に着いてしまう。従って、足に溜めがなく、足が平面的に動いて引きずるようになってしまい、上下の動きがなくなってくるので、歩幅が狭くなり、チョコチョコ歩きになる。

もう一つの問題は、爪先で歩くことである。爪先で歩くということは自分の身体の裏側(前側)を使うことであるので無理があり、力も伝わらず効率が悪いだけでなく、膝を痛めるなど身体を壊すことにもなる。

足がうまく機能するためには足腰の筋肉がしっかりしていなければならない。特に、大殿筋、大腿二頭筋、脾腹筋(写真)がしっかりしていなければならない。

これらの下肢の裏筋(本当は表筋)を鍛えるためには、技をかけるとき、歩くとき、階段を上り下りするときなどに、踵(かかと)を使うことである。電車に立って乗っていて、何にも掴まらずに倒れにくい立ち方は、踵に重心を落とした立ち方がよい。爪先に重心がかかっていると、ちょっとした揺れでもふらついてしまうものだ。
稽古で技をかけるとき、進むときは、踵から進めといわれている。(ただし入身で入るときは爪先からである。)

足腰を鍛えるには四股を踏むのがいいが、足を踏み下ろして他方の足を上げるとき、踏み下ろした足が地に着いたら、その力(エネルギー)を溜め、力がせり上がるようにし、それにタイミングを合わせて他方の足を上げ、2〜3秒上げたまま止めてから下ろすと、下肢の裏筋、足腰が鍛えられるし、身体のバランスも養われる。

四股を一日、1,000回踏む人もいるようだが、100回ぐらいでも十分だろう。但し、毎日やることが大切である。毎日の家での一人稽古のプログラムに入れるとよいだろう。

人はこの下肢の筋肉の衰えから、身体が衰え、姿勢が悪くなり、老衰するようだ。稽古を末永く継続し、元気で生活するには、この下肢の筋肉を意識して鍛えていくことが大切だろう。四股が100回踏めているうちは認知症にはならないのではないかと思う。