稽古は、ただやればよいというものではない。課題をもって、その解決に努めなければならない。解決しなければならない課題はいくらでもあるはずだから、課題を持たないで稽古しているとすれば、おかしいはずである。いつも同じ問題に繰り返しぶつかれば、それは解決しなければならない課題にならなければならない。
合気道の稽古は一年中を通してやるので、寒い冬も暑い夏も稽古をすることになる。だが、季節々々での稽古の課題は違ってくるはずである。冬は寒い、冷たい、体が硬いとか痛いといい、夏になると、暑い、湿気が多い、息が上がる、バテる、などと不平を言っていても、意味がない。それでは、せっかく暑くしてくれる夏さん、寒くしてくれる冬さんに失礼で、申し訳がないだろう。夏は暑く、冬は寒いが当り前で、自然であるはずだ。
暑いとか寒いとか、稽古しない一般人のように不平をいうのではなく、稽古人は夏の暑さ、冬の寒さに感謝しながら、稽古するようにならなければならないだろう。その暑さ寒さがいい稽古になり、いろいろと教えてくれるのである。
暑い夏の稽古での最大の問題は、喉(のど)が渇くことだろう。この原因は、大量の汗をかくのと、咽頭が渇くことであろう。今回は、咽頭を乾燥させずに、喉の渇きをできるだけ防ぎ、暑い夏でも快適に稽古をする方法を研究してみよう。
通常、呼吸をするときは、鼻から空気が入り、咽頭を通って、喉頭部、気管、気管支、肺へと送られる。咽頭は、口腔と食道の間に位置し、鼻部・口部・喉頭部に分かれる。
口からでも呼吸はできるが、口で呼吸をすると咽頭が乾燥する。口で長時間呼吸をすると、咽頭の乾燥により稽古を続けるのが厳しくなることがある。