【第314回】 5本の指のある手も小宇宙

武道としての合気道の面白さ、そして難しさは、体全体をつかいながら、体の細部にわたる部位を最大限に活用しなければならないことにもあるだろう。これは、日常での体づかいやスポーツでの特定な部位を鍛えてつかうのとは違っている。

人体は小宇宙といわれている。つまり、人の体は、宇宙を小さくしたものであり、宇宙と同じ構成と働きがあるということだろう。合気道では、この事がわからないと、合気道は達成できないといわれている。

合気道では、「天火水地の十字の交流によって生みだされる言霊の響きによって宇宙万物が生成されたのであり、それに習うことが合気の道なのである」と、教えられており、宇宙は十字でできたし、ウキハシの縦横十字で万物を生み出しているとする。

小宇宙の人の手の関節(手首、肩、肩甲骨、胸鎖関節)は十字に機能するようにうまくできていることは、以前に書いたが、手の5本の指も十字を基本にできているようである。

日常の手の姿形からはわからないが、技をつかう武道の手では、中指は腕の延長上に縦にあり、親指と小指がその縦の中指の直角の横にあり、縦横ちょうど十字になる。ちなみに、人差し指は親指と人差し指の中間の45度、薬指も中指と小指の中間の45度に位置する。

人体の手には五本の指があるが、これも十字で小宇宙ということができるだろう。