【第307回】 腰腹尻尻四点セット

合気道の技を稽古していると分かってくることだが、合気道の体ができてくるに従って、技は上達するものだ。合気道の体ができるということは、合気道で使う体の各部位がしっかり(強靱で柔軟)し、それらの各部位が連携し合って有機的に機能し、合気道の技に入り込める体になることだと考える。

合気道だけでなく、他の武道や武術でも、腰と腹は大事であるといわれている。腰腹がしっかりしていなければ、相手に弾き飛ばされたり、満足に立っていることもできなくなる。技の上手な人、試合に勝つような強い人は、腰腹がしっかりしているようだから、腰腹が重要であることに間違いはない。 しかし、腰と腹は後と前の縦の関係であるから、腰から腹へと力を出すと、主に前後の直線的な動きになってしまう。これは、合気道では、相手とぶつかってしまう動きである。

合気道の技は手を使ってかけるが、手はいくら振り回しても、まともに効くものではない。では、どう手を使って技を円くかけるかというと、腰と腹、それに尻と尻のつかい方にあると思う。

腰が中心になり、前後(縦)の力は腰から腹に流し、左右(横)の力は腰から尻(臀部)に流すのである。この二つの方向の力で縦横十字になり、〇(円)く力が流れ、円く動けるようになるわけである。

合気道の相対稽古で、例えば「諸手の交叉取り」をかけると分かるが、腰腹だけではとても無理で、尻からの円い力(遠心力)で決まるものである。

この腰腹尻尻四点セットを図に描いてみると、下記のようになるだろう:

この図から分かるように、腰から出た尻への力は腹に集まり、この腹から手先に伝わるのである。また、腰からの力は腹にも集まって、そこからも手にいくので、どちらからの力も腹に集まることになる。だから、腹は大事だと認識されるわけだろう。

この腰腹尻尻四点を機能させるために大事なことは、股関節を柔軟にすることである。そのためには、開脚柔軟運動や四股踏みがよい。

あとは、手、それに足を、この腰腹尻尻四点に繋げ、切れないようにし、腰腹尻尻四点から動かしてつかうようにすれば、大きい力が出るし、迅速な動きができるようになるはずだ。