【第30回】 手の指をまっすぐに

技をかけるにあたっては、手の指はまっすぐでなければならない。指先が曲がったりすると、力も気も手首のところで止まってしまい、その先の指が萎えてしまって、指先まで力が通らないのである。


故有川師範の真っすぐな手の指
指先は力の方向を定めるので、指先が曲がっていれば自分の進む方向や、相手を投げる方向も定まらないことになり、技も効かないことになる。また、指が萎えているということは、指の表側(甲側)に力も気も来ていないので、死に手ということになる。

しかし、自分の手であっても、萎えている指を真っすぐにするのはなかなか難しい。よほど注意して、意識して鍛錬しないと指は真っすぐに直ならないし、すぐには直らない。

指をまっすぐにするには、まず、その必要性を自覚することである。ときどき自分の指に力をいれて、まっすぐになっているか、力が先端まで通っているかを見るとよい。その上で、指がまっすぐになるように修練する。

合気道の稽古をまじめにやれば、指もまっすぐになっていくはずである。相手に持たれた場合、手の指に意識を入れて動かすとか、一教で相手の腕を押さえるとき指先に気持ちを集中して押さえるとか、力を指先に集めたりすればいいのである。はじめから最後までしっかりとした稽古をすればできるようになるように、合気道の技は出来ているのだろう。従って、指がまっすぐにならないのは、日ごろの稽古をきちっとやっていないからかも知れない。

一人稽古の場合、一教運動、船こぎ運動、指での腕立て伏せなどでも、指をまっすぐにしていく稽古はできるだろう。
開祖はもちろんだが、日本舞踊、演劇などでも、いい演者の手の指はまっすぐ伸びている。指先も意識して稽古すべきである。