【第297回】 月(体/からだ)の要(かなめ) 「腰」

腰は「月(からだ)の要(かなめ)」であるといわれる。これは、腰は重要であるということと、また体の他の部位と腰で繋がって、腰が扇の要のような働きをするということだろう。

合気道で技の練磨で体をつかう際でも、剣や杖や鍛錬棒で素振りをする場合でも、腰は扇の要のようにつかわなければならないだろう。

まず、手や足、また首などの体の末端は、体の要の腰に繋がっていなければならない。それが繋がっていなければ、要がはずれたり、扇の骨が折れた状態になるから、腰からの力はその末端まで届かないことになろう。

次に、体の末端の力や各部位の力を、体の中心であり要である腰に集めることである。末端や部位の力が腰でなくて、他のところにいってしまえば、扇の要が外れて骨がバラバラになった状態になってしまう。バラバラになれば、扇は使いものにならないし、体も十分な力を出すことができず、働くことができない。

三つ目は、扇を開くのは要からであるから、体も要の腰から使わなければならないことである。扇をつかうのに、上手は要のところを持ち、要の方から開くが、子供や下手は扇の先端を両手を使って開くものだ。

合気道で技を掛ける際も、手足の末端から動かすのではなく、体の中心の腰を動かして、要の腰と結んだ末端を使うようにしなければならないのである。