かつて武術の初心者に対する稽古を「手解き(てほどき)」といい、敵につかまれた手を解くことから稽古をはじめたものだという。今ではこの「手解き」という言葉は一般化されてつかわれているが、もともとは武道用語であるという。
武術を始めるにあたって、わざわざ「手解き」を習わなければならなかったということは、手を解くことは容易ではないということであろう。従って、相手につかまれた手を解くためには、解くための技があるし、その技を練習しなければならないことになる。
合気道の稽古は、相対で取りと受けが交互に交代しながら技を掛けたり受けを取っていくわけだが、一般的に、そしてよく言えば、紳士的で現代的な稽古をしているといえよう。相手の手を取るにもやさしく、そして、すぐ離す。しっかり掴み、技が効かなければ離さないというような稽古は、歓迎されないのか、あまり行われなくなってきた。だから、少し力を入れて手を掴むと、掴まれた手が動かなくなったり、離れなくなってしまう。
例えば、片手取り(逆半身)一教で掴まれた手を、相手の手から解くのは、意外と難しいものである。相手が真剣に掴んだ場合、ただ引っ張たり、上げたり下ろしても手は解けない。それで解けたら、相手の力が弱いだけかお情けであろう。この場合の手解きは、手先と腰腹をむすび、手先から動かすのではなく、腰腹を遣い、手を螺旋に返して解かなければならない。
同じく片手取り(逆半身)で入り身をして、入り身投げや小手返しなどの技をかける場合も、手を解くのが簡単ではない。手先と腰腹を結んで、腰腹で手を螺旋にかえさなければならないのは一教と同じだが、その他に、掴まれていない側の手をつかわなければならないのである。両手が腹や顔の前、つまり体の中心線上で交叉させなければならないはずである。
手解きのポイントを簡単にまとめると、