【第435回】 光ある妙技

開祖は「合気道は、光ある妙技をつくることである」といわれ、また「我々は五体のひびきから光と熱と力を生じさせるような稽古をしなければならない」ともいわれて、光、熱、力が重要であることを示されている。

この重要な光、熱、力の意味を考えるにあたっては、お日様は万有万物に光と熱と力と愛を与えている、ともいわれていることが、ヒントになると思う。

太陽の光は、光であるのは当たり前であるが、どんなに空が雲に覆われていても、誰でも光を感じることはできる。たとえ目をつぶっていても、光は感じるものだ。植物の芽も、光に向かって伸びていく。光とは、誰でも、何者でも、感謝するものである。

また、太陽は、熱を与えてくれる。真夏の直射日光を浴びるまでもなく、誰にでもわかることだろう。熱には、熱エネルギーだけではなく、温かみがある。どんなに曇ろうが、大雪が降ろうが、太陽があれば温かいものだ。

そして、太陽は力を与えてくれる。この力は、ポパイのほうれん草のように、筋肉をモリモリつける力ではない。この力は、生命力という力である。太陽を浴びれば、筋肉はつかないが、生命力が湧いてくるのである。

太陽はこのように光と熱と力を万有万物に、分け隔てなく平等に与える。これが、愛である。あいつは気に入らないからあげないとか、気に入ったから多くあげるとかいうのではなく、平等に、そして見返りなど考えずに、与え続けているのである。

光と熱と力を生ずるためには、開祖が「△○□の鍛錬により光と熱と力を生ず」といわれているのだから、△○□の鍛錬をしなければならない。△○□の鍛錬とは、「体を△に象り(かたどり)、○を中心に、気により△□の変化と気結び、生産びを身体に現わし、生み出しつつ気魂力を養成する」ことであるという。

光と熱と力、そして愛とは、一つを分解し、多面的に表現したものである。だから、光といってもよいだろうし、愛といってもよいのである。従って、先述の光ある妙技とは、熱もあり、力もあり、そして愛も備えた技、ということになる。

この光(熱・力・愛)のある妙技をつくるために、開祖は「自己を知り、大宇宙の真相に学び、そして一元の本を忘れないで、理性を溶解し、法を知ることである」(『合気真髄』)といわれている。

まずは、これらを学び、知っていくことである。そうすれば、光輝く、温かみのある、生命力のある、そして愛のある技、つまり、光のある妙技がつかえるようになるはずである。