【第307回】 合気道の技とは(3回シリーズ) その1 合気道の技と形

合気道は技を練磨しながら精進するものである。誰もが技を練磨しながら、稽古していると信じているだろう。しかし、本当に技の練磨をしているのだろうか。それに、技とは何かわかっているだろうか。

技の練磨をしているとしたら、「技」とは何かが、わかっていなければならない。「技」が何かが分からなければ、技の練磨はできないし、合気道の稽古にもならず、精進もできないことになる。

「技」とは、日常、相対で稽古をしている、例えば正面打一教とか胸取二教のはずだ、というだろう。しかし、これは残念ながら本当の技ではない。これは「形」なのである。形の稽古を通して、真の技を生み出す体をつくるのが、形の役割である。形は合気道の目標達成のための、入口であり、一つの過程であり、必要要件ということになる。

「形」とは、あらかじめ順序と方法を決めて、練習することである。数少ない合気道の形を覚えるには、2、3年もあれば十分だろう。限りない稽古を要求される合気道では、形を覚えるだけが稽古の目的ではないはずだ。

もちろん形稽古は大事である。この形稽古をしっかりやっておかないと、先に進めないことになる。形稽古は、形を覚えるためだけではない。前述のように、合気道の形など数年で覚えてしまえる。形稽古だけをやっていれば、10年、20年で稽古に限界を感じ、続ける意欲を失い、そしてやめることになるはずだ。

形稽古でもっとも大事なことは、技を身につけるための準備をすることであり、体のカスをとり、体をときほぐすことである。開祖はこれを、「合気道の技の形は、体の節々をときほごすための準備です」(「武産合気」)と言われている。

確かに、初心者を見れば想像がつくだろうが、体にカスがたまって筋骨が固まっていれば、体は十分に動かない。体をときほぐして柔軟な体を作ることが必須である。

従って、形稽古は重要であるから、体をほぐすためにしっかり稽古をしなければならない。しかしながら、形稽古でやっている形は「技」ではない。

それでは、合気道で練磨の対象とする技とはなにかということになる。それは、次回と次々回で説明することにしよう。