【第288回】 宇宙の法則

合気道の技は、宇宙の営みを形にしたものであるから、宇宙の条理、宇宙の法則に則っていなければならない。これを開祖は、「合気道は、宇宙の営みの御姿、御振舞いの万有万神の条理を明示する大律法であり、万有の条理を明示するものである」といわれている。

さらに、「技は、すべて宇宙の法則に合していなければならないが、宇宙の法則に合していない技は、すべて身を滅ぼすのである」と、宇宙の法則ということもいわれている。

また、開祖は、「合気道は、合気道は宇宙のいとなみが自己のうちにあるのを感得するものである。合気道を会得した者は、宇宙がその腹中にあり、『我はすなわち宇宙』なのである」と、宇宙を説明されている。

宇宙は自分で感じ、宇宙と一致させることができるといわれているのである。とすると、宇宙や宇宙の法則とは、137億年の彼方にだけあるのではなく、もっと身近なもので、意外とわかりやすいものなのではないだろうか考えていた。

NHKのテレビ「コズミックフロント〜ホーキング博士の宇宙 時間旅行(タイムトラベル)は可能か?」を見ていたら、英語で「宇宙の法則」をRule of everythingと訳していたようだった。そこで、宇宙とはEverythingだと考えてみればよいのではないかと考えた。

Everythingとは、「すべて」「よろず(万)」であるが、それは例外がなく、まま子扱いもなく、平等に扱われる、時間も空間も超越した万有万物である。ここには、愛が感じられる。この愛が宇宙(Everything)の元であり、そして合気道の精神となっていると考えることができる。

従って、宇宙の法則、Rule of Everythingとは、例外なく万有万物に適用される法則ということになる。自分自身だけではなく、他人、周りの動植物、生物、無生物、それに今のものだけではなく、過去も未来も適用する法則である。

宇宙をEverythingとすれば、これまで開祖がご説明されてもよく解らなかったことが解明できるようである。

例えば、開祖の言葉、

等などである。

これらの宇宙にEverythingを入れかえてみると、とっつき難かった宇宙が身近でわかりやすくなるだろう。

合気道の修行の目標は、宇宙との一体化である。宇宙と一体化するということは、とどのつまりは、Everything(万有万物、万有万神)と一体化するということではないだろうか。逆に言えば、Everythingと一体化できれば、宇宙との一体化ができ合気道の卒業ということになるだろう。

しかし、これはそう簡単ではないし、できるという保証もない。宇宙の法則に合う技、Everythingに矛盾しない技を練磨して、精進するしかないだろう。