【第998回】 片手取り呼吸法のまとめ
この論文は1000回を目指して書いてきたが残すところ3回となってしまった。1000回の後はどうなるかまだ分からないが、1000回でやってきたことをまとめてみたいと思う。
まず、この論文のテーマは「上達の秘訣」であるが、どのように上達してきたのかをまとめてみたいと思う。
論文を書いているときは意識していなかったが、終わりに近くなった今振り返ってみると、上達の秘訣には一貫した一つの流れがあり、その流れに乗って上達しようとしてきたように思える。
それは何かというと【片手取り呼吸法】である。この片手取り呼吸法を繰り返し稽古してきた事によって、技が上達し、合気道が分かるようになり、自分と宇宙が分かってきたのである。逆に言えば、【片手取り呼吸法】をやってこなければ今は無かったはずである。
それでは、何故【片手取り呼吸法】を稽古すれば上達したのかということになる。
それは【片手取り呼吸法】の技の中に、合気道の技の要素がすべて入っていること、そして【片手取り呼吸法】が出来れば他の合気道の技も同等程度に出来るようになることである。有川定輝先生は、合気道の技は【片手取り呼吸法】がつかえる程度にしかつかえないと言われていたのはこの事だと思う。
それでは己の【片手取り呼吸法】をどのようにつかうようになり、どのような事を身につけたかをまとめてみる。
- 布斗麻邇御霊の水火の形で【片手取り呼吸法】をつかう。言霊“あおうえい”と合わせればより強力になる。合気の技はすべてこの布斗麻邇御霊の水火の形に収まることがわかり、つかうようにしている。大先生がフトマニ古事記に学べと言われていることである。
- “あ”“お”で天地の間に立ち、天と地の引力の中で技と体をつかう。気を感じ、気で手と技をつかえるようになってきた。
- 手先、足先、体幹、首、頭まで気を張る。特に体の裏である、手の平、胸、腹、足底を頑強にする。この体の裏は土台になり、この土台がしっかりしていないとこの上に気は生まれない。
- 手は息を陰に引いて出す。相手と接する時は、この息を引いて出さなければならない。息を吐いて手を出せば、息は陽で手も陽になり陽陽になってしまい、相手とぶつかる事になる。息陰は布斗麻邇御霊のイザナギノ命の御霊の
である。
この効用は、?出る手は己の円の内に収まる ?強力な力(気)で手が張る ?手がすきなく自在に動く。
- 手先から体の表に気を流し、背中と腰で技を掛ける。これまでは手と腹を生すび腹で手をつかって技を掛けていたが、これは体の裏の気なので力は小さい。また、体の裏の力は相手にぶつかると戻ってきてしまう。正面打ち一教の手が分かり易い。背中、腰の体の表の力は強力で戻ってこない。
- 手と足と腰の一致で技を使うが、【片手取り呼吸法】はこれを身につけるにいい。これができなければ技にならないからである。この手と足と腰の一致で体軸をつくり、その軸の移動で技をつかうからである。このためには足が右左、規則的に陰陽でつかわなければならない。
- 腹は足先に対して十字々々で返してつかわなければならないが【片手取り呼吸法】ではこのいい鍛練になる。
- 合気道の技は円でつかわなければならないが、【片手取り呼吸法】は特にそれをしっかりやらなければ技にならなかったり、相手に抑えられて動けなくなったりする。換言すると、【片手取り呼吸法】で、円で動ければ他の技も円でできることになる。因みに、円には横の円と縦の円があり、この横と縦の円の組み合わせで技と体を使わなければならない。取り分け縦の円を鍛錬するのには【片手取り呼吸法】、更に【諸手取り呼吸法】が最適であると思う。
- 【片手取り呼吸法】で、腕力の稽古、息で体と技をつかう稽古、気で体と技をつかう稽古、魂の学びと一連の流れの稽古ができる。しかも、前段階の稽古で得たモノが土台となり、次の稽古に進むのである。【片手取り呼吸法】では、無駄がなく、合理的な稽古ができるということなのである。
それでは更なる上達のために今後どうしていきたいかである。
まず、“気“は大分分かってきたが”魂“がまだ分かっていないから”魂“に挑戦しようと思っている。勿論、【片手取り呼吸法】で探究することになる。
Sasaki Aikido Institute © 2006-
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