【第994回】 基本技、応用技、自由技

『合気道技法』には、合気道の技を基本技と応用技に分けている。
基本技は、投げ技の四方投げ、入身投げ、回転投げ、小手返しと固め技の腕抑え(一教)、小手回し(二教)、小手ひねり(三教)、手首抑え(四教)である。
応用技は、投げ技の四方投げ応用四態、入身投げ応用六態、小手返し応用六態、腰投げ四態、十字がらみ二態、天地投げ、合気落とし二態、呼吸投げ三態、合気投げと固め技の腕抑え八態、小手回し六態、小手ひねり七態、手首抑え二態である。

合気道の稽古は、この基本技と応用技を繰り返し々々稽古し身につけて行く。先ずは技の形を覚え、そして体をつくっていく。先生や先輩に教えて貰ったり、目で見て真似することが出来るわけだからそれほど難しい事ではなく、誰でも出来る。勿論、上手い下手、強い弱いはある。
また一つ言えることは、基本技が上手く出来なければ応用技は上手く出来ないということである。つまり、基本技は基本中の基本であり、応用技の基本ということである。応用技が上手くなりたいなら、基本技を何度も繰り返して稽古しなければならないのである。

さて、最近、自分の技が変わったことに自身で驚いている。基本技や応用技と違う技をつかえるようになったのである。攻撃してくる相手を投げたり、決めたりするのではなく、相手と一体化して動き、相手を自在に動かしてしまうのである。
基本技や応用技と何が違うかというと、それは気の働きによることである。気で相手を凝結し、そして引力でくっつけてしまい、気で自在にするのである。謂うなれば、これは幽界の技ということになるだろう。
また、この基本技や応用技との違いは、基本技や応用技はその各々が一つの“創造物”、“完成品”であるから、布斗麻邇御霊の七つの御霊の水火の形に則って収められなければならないし、言霊“あおうえい”で収めなければならない。
それに対して自由技は、布斗麻邇御霊から割れ別れた水火の形でやることになる。布斗麻邇御霊から割れ別れた水火の形は、━、|、十、ノ、ヽ、二、フ、○、□等であり、この水火(息づかい、呼吸)で技にするのである。布斗麻邇の一部であるから、いかなる攻撃に対しても咄嗟に反応できるし、素早く捌くことができる。
また、応用技には決まった形がなく、布斗麻邇御霊から割れ別れた水火の形の組み合わせである。自分の気持ちと相手の気持ちによって変わるので決まりがない。つまり自由ということになる。

自由技がつかえるようになるためには、先述のように気がつかえなければならない。気を感じ、気で相手と繋がり、相手を感ずることである。
またそのためにも、基本技と応用技をしっかりと身につけ、技と体を鍛え、磨かなければならない。どう鍛え、磨くかはこれまで長年にわたって書いてきた論文の通りである。