【第994回】 息づかいのまとめ

気というものがようやく分かりつかえるようになり、次の魂の探究に入ってきた。これまで書いてきたように、気の次元での体と技をつかうようになるためには大分苦労した。そして確信したことは、気に入る事ができたのは「息づかい」であったことである。それ故、気を求めている後進のためにも、これまでやってきた「息づかい」をまとめてみることにする。

まず、合気道においての息づかいには次のようなものがある。

  1. 人体:口中の息づかい。腹中の息づかい。胸中の息づかい
  2. 天地:天地の呼吸、潮の干満 
  3. 宇宙:水火  
  4. 小宇宙(人):心臓(血管の凝縮)、肺呼吸
つまり合気道での息づかいはこれらの息づかいを駆使する事になる。日常の一般人は、主に口呼吸と無意識の心臓と肺呼吸であるが、この息づかいでは大きな力は出ないので武道の息づかいにはならない。残りの息づかいもつかわなければならないという事である。天地宇宙との一体化の息づかいである。

息づかいを身につけるためには、やるべく息づかいを順序よく身につけなければならないと考える。そのやるべき事と順序は次の通りである。
  1. 日常の息づかいで手をつかう
    1−1.口呼吸で手をつかう
    1−2.腹呼吸で手をつかう
    1−3.胸呼吸で手をつかう
    これまでは手を先に動かし、息はその後につかっていたはずである。息で 手をつかうと次のようになる:
    * 自然にスムースに動く
    * ゆっくりでも高速でも自在に動く
    * 動きが切れずに動く
    * 剛柔流の息で、手も剛柔流に動く
    まずは、口と腹と胸を息で活性化して、息が上手く出来るようにしなければならないということである。
  2. イクムスビの息づかい
    イと息を吐き→クと息を引き→ムーと息を吐き→スーと息を引き→ビイーと息を吐く息づかいである。吐く息で手を縦に進め、引く息で手を横に返す。これは横のイクムスビでの手のつかい方である。手が縦、横、縦に動くことになる。
    イクムスビでの縦の息と体のつかい方もある。イーで手先を前(縦)に出し、クーで手先(手、腕、体)を横に拡げ、ムーで縦、スーで横、ビーで縦に返すのである。
    この縦と横で息と体(手)は十字になり、気が生まれる。故に、イクムスビの手で相手の手に触れると、相手は凝結し、くっつくことになるわけである。イクムスビはこの縦の息づかいが働かないと気が出ないし技にならない。
  3. 布斗麻邇御霊の水火 3−1

    吐くーーーーーーーー→ 吐いて吸う

    と布斗麻邇御霊の水火の形に合わせて息と技をつかうのである。
    天地と息を合わせ、伊邪那岐と伊邪那美の息づかいで伊予の二名島 などの島(技)産みをするのである。この水火の息づかいは容易ではない。一人でやれば1,2年掛かるだろう。知っている人に教われればそう難しくないと思う。
    3−2 布斗麻邇御霊を言霊“アオウエイ”でやる

    と“アオウエイ”の言霊で布斗麻邇御霊をつかうのである。
    布斗麻邇御霊の意味と働きが分かり易いはずである。

  4. 布斗麻邇御霊から割れ別れた水火 ヽ、━、|、十、ノ、ヽ、二、フ、○、□等 布斗麻邇御霊から割れ別れた水火に合わせて息と体をつかう息づかいである。例えば、
    A. 手を上から下に下す時は息を吐く(水)
    B. 手先を左から右に返す時は息を引く(火)
    C. 手で円をつくる時は息を吐く(水)
    D. 手をフに返す時は息を引いて(火)横、左下に落とす際は息を吐く  (水)
    E. 腹中を引いて(火)
    布斗麻邇御霊は一つのモノを創造し、完成するための息づかいであるが、布斗麻邇御霊から割れ別れた水火はある部分の一部であるが、息づかい(水火)の法則があるということである。手を上げ下げしたり、動かすにも息づかいの決まりがあるということである。
これがこれまでやってきた息づかいのまとめとなる。