【第989回】 水火を感じ、つかう

朝、目覚めてひと呼吸すると身体がゴム風船のように膨らみ、体中が張る感覚になった。呼吸によって、気が体中で膨らみ、縮むを繰り返しているのである。しかも立ったり歩いたりで通常の呼吸をしても、体中は膨らみ、縮むを繰り返しているのである。
これまでと違うのは、体中の気を感じ、その気が働いているのが意識できることである。また、縮んでも膨らんでも、体が気で張り続けている事である。

この呼吸は自然であり、気持ちがいい。この無作為の呼吸で気が体中を流れ、体の部位(腰腹、背胸、手、足、頭)を気で満たしているのである。そしてこの息づかいの体と気で技を使うと強力な力が出るのである。
これこそ宇宙の呼吸である“水火”であると確信した次第である。己の呼吸と宇宙の呼吸が一体化したということになるだろう。大先生も“水火”で神業が自然に起こり、そして気が自然に起こると次のように教えておられる。
「水火結んで縦横となす、縦横の神業。自然に起きる神業。我々は知育、徳育、常識の涵養と相まって自然に起きる気。気はすべての大王である。」(合気神髄P151)

気はすべての大王であると云われている。これは、気は最強であるということであろう。また、この大王は「天の叢雲くきさむはら竜王」であると思う。
天の叢雲くきさむはら竜王を大先生は、「宇宙の気、オノコロ島の気、森羅万象の気を貫き息吹く気の働きであります。くきとは、大地の妙精の現れと、天の現れとを一つに貫く、即ち天と地の両刃の剣です。さむはらとは、世の最高の徳と功しを称えた言葉であります。」と云われている。

この水火に技を組み込み、水火で収めるのが合気の技と感得する。自然に起きる神技である。無作為の自然な呼吸と宇宙の呼吸の水火の呼吸に成る技である。
水火は技だけではなく、他の働きもできるようである。例えば、技を使う場合は水火の気を主に手に流し手に満たすが、水火の気を腹や胸、そして頭にも流す事ができる。更に、頭の中の目、鼻、耳にも気を流す事が出来る。頭、目、鼻、耳がすっきりするから、これが気による禊であると考える。機能低下やボケ改善にも繋がるだろう。

水火は武道の基盤であり、健康の基盤であるといえるだろう。
先ずは、水火を感じることだろう。そうすれば水火を技につかい、禊につかうことが出来るようになるだろう。そのためには“気”である。気が分からなければ水火も分からないはずだからである。