合気道は手で技を掛けるので手は大事である。手を鍛える事も大事だが、手のつかい方が大事であると最近つくづくと思うのである。手をどのタイミングでどの方向にどのように出すのかということである。
これまでいろいろ試して来たわけであるが、まだ納得できないでいた。
手は外見上、最初に動く箇所である。所謂、手の初動である。物事は初めが肝心であるからこの初動の手も肝心ということになる。従って、手の初動がうまくいかないので後もまずく、技が収まらない事になるという事になるのだろう。
初動の重要さを意識したのは、力一杯の相対稽古のお蔭である。それまではお互いにそれほど思い切り打ったり、掴んだりしていなかったので技を掛ける事ができていたが、思いっきり打ってきたり、掴んでくるとそうはいかなくなる。手の出し方、つかい方を間違えれば力負けしてしまい逆に抑えられてしまう。そこでイクムスビでの手や剣をつかう手、居合の手をつかったりしてみた。少しは上手くいくようだがまだ十分ではない。何か根本的、基本的なやり方、手のつかい方があるのではないかと思ったのである。
その課題の解決策は大先生の教えにあった。それも自分がすでに気がつき、研究していた事である。
それは「第841回『うぶす』の社(やしろ)の構えで」での“『うぶす』の社(やしろ)の構え”である。しかしこの段階でわかっていたことは、最初の構えは大事であり、それは”『うぶす』の社(やしろ)の構え”という事であったが、初動については分かっていなかったのである。
今回は、『うぶす』の社(やしろ)の構えから、どのように手をつかえばいいのかがわかった。大先生の教えが理解出来、それを技でつかうことができるということである。
大先生は「西北(乾)は物と心の始まり、西と東北(艮)はこれに順じて三位一体となります。」と”『うぶす』の社(やしろ)の構え”(下記図)から初動はこうあるべきと教えておられるのである。
これを解釈すると、まず、西北(乾)と西と東北(艮)が三位一体となる事である。体の構えがこの三位一体とならなければならないという事である。
次が初動である。大先生は「西北(乾)は物と心の始まり」と云われているから西北(乾)が初動ということになる。西北(乾)にあるのは腹であるから、西北(乾)に向いている腹を返すことから技の動作を始めなければならない事になる。腹を返す方向は手を進める方向であり、相手の中心(線上)である。所謂、この図での北である。
しかし、実際に『うぶす』の社(やしろ)の構えから西北(乾)に向いている腹と手を北に返すのは簡単ではない。足や体が突っ張って腹を返したり手を出したりうまく出来ないのである。
この問題を解決するのが、足底である。足底の三点、踵→小指球→母指球で腹(体)をつかうのである。踵→小指球で相手(北)に向かい、母指球で転換する。また、足底と手掌の各三点は連動する。特に、足の踵と手掌の掌底は大事であるがつかうのが難しいので、はじめは意識してつかわなければならない思う。
まとめると、初動は、