これまで書いてきた論文のタイトルを見返してみると、「水火」に関する論文が150編以上あるから、三年以上水火の研究と稽古をしてきたことになる。
大先生は、合気道の技は水火で練らなければならないと次のように教えておられるからである。「一挙一動ことごとく水火の仕組みである。いまや全大宇宙は水火の凝結せるものである。みな水火の動きで生成化々大金剛力をいただいて水火の仕組みとなっている。稽古は水火の仕組みで練る、習うている。」(合気神髄 P.141)
お陰で大分合気道らしい技がつかえるようになってきた。特に、片手取り呼吸法と正面打ち一教が変わってきた。
しかし、水火をつかっているつもりなのだが、まだ、技がうまくつかえない箇所があるのが気になっていた。手先に十分な力が集まらない事と相手に頑張られると手が折れ曲がったり、弛んでしまう事である。
水火は天地の息であり営みであり、小天地の人の息であり営みである。息を吐き、息を引き(吸い)、また、心臓も縮み、開くの繰り返している。水火の営みである。
これまでは常に腹で手をつかい技を掛けていた。腹に息を入れて腹を膨らませ、そして腹を絞り、また、腹を膨らませるとの水火で手と腹と体をつかって技を掛けて来たのである。つまり腹で手先、手をつかっていたのである。
これまで手や足や頭など体の末端は腰腹と結び腰腹でつかわなければならないと思い、体と技をつかってきたわけである。が、これは半分は正しいが、半分は間違いであることがわかったのである。つまり、横の水火では正しいが、縦の水火では正しくないということなのである。
合気道は円の動きの巡り合わせであり、横の円と縦の円があるが、水火で手をつかう場合も横の水火と縦の水火がある。
横の水火は腰腹を支点に手と体が拡がる。この際、気(力)は腰腹から出す。腰腹→胸鎖関節→肩甲骨→肩→肘→手首→手先と気(力)を出して・流していくのである。
縦の水火は、縦の円の動きで説明したように、手の軸(親指や人差し指や中指)を支点とする水火である。この縦の水火では、腰腹からではなく手先から出すのである。手先に気を満たし手先から動かすのである。
手先→手首→肘→肩→肩甲骨→胸鎖関節→腰腹となるのである。
これまで手先に力を込めたものの腰腹で手先をつかっていたために手先に十分な力が働かず、折れたり曲がったりしたわけである。
また、横と縦の水火をつかうと手は螺旋で動くようになり、手鏡が自然とでき、強靭な手になる。手の平がしっかりした土台となり、手の甲で土台を動かすようになる。魂が魄の上になり、魂で魄を導くことになるわけである。
横の水火は容易に見つけ、技に身に着けやすかったが、縦の水火は容易ではなかった。何せ三年以上かかったわけであるから。しかし、片手取り呼吸法と正面打ち一教は以前とは大分変り、精進したと実感している。これはMustの法則と考えていいはずである。