合気道は技を掛け合って技と体を錬磨している。技が上手く掛かるためには体の動きと形が大事であると実感する。いい技には無駄な動きはないし切れることもない。法則や条理に則って動いているということである。そして体の形もいい。
足の先から頭のてっぺんまで気で満ち張り切り、五体が一体となっている。
大先生や有川先生の体の動きや形を見ればそれがよく分かるだろう。
技をよくしようと体を鍛えてきた。腰、足、頭、そして手を鍛えてきた。これで体はすべて鍛えたと思っていたが、まだ鍛える部位が残っていた。それも一番鍛えたと思った手である。手は胸鎖関節、肩、肘、手首、手掌まで念入りに鍛えたので手はこれですべて鍛え終わったと思っていたが、まだ、残りの箇所があったのである。
それは手先・指先である。
これまでは、手先・指先は親指を体(支点)にし、他の指を用につかう、人差し指で相手の中心線上を突くようにつかう、中指は手中の中心を通り、小指を手刀として用としてつかうとして鍛えて来たのである。
しかしこれだけでは手先・指先は十分伸びきらず、歪んだ状態で力が手先・指先から出ないのである。周りの初心者の技を掛ける手のほとんどは手先・指先が歪んでいるが、自分もそうだということがわかったわけである。
ここでの手先・指先はどこかというと下図の箇所である。
それは大先生の教えの「息陰陽水火」である。手先・指先の下部(拳骨をつくった時に出る骨部)を体(支点)とし息と手を陰で引くと手先・指先が陽で先に伸びる。これに水火を加える。息を水で吐き、火で息を引くと、水で手の平と手先と指先の手の平側が塊り、火で手の甲側の手先・指先が拡がる。つまり、息陰陽で手先・指先が縦に伸び、水火で横に伸びるということになる。手先・指先が十字に伸び切ることになるから、伸びきった頑強な手先・指先ができることになるわけである。
手先・指先を伸ばすのは、息陰陽十字ということになるだろう。