【第977回】 手と足の裏・甲を連動してつかう

前々回の「手の甲を鍛えつかう」の続きである。手の甲を鍛え、つかっていると足につながってきた。水火で手の平と手の甲をつかっていくと、足も同じように足の底と足の甲が働くことがわかってきたのである。これは不思議な事ではない。これまでにあった事であり、これが精進につながっているわけである。宇宙に学ぶ事は無限にあるわけだから、これを単独で一つずつ会得していくのは不可能である。しかし、有難いことに、一つの事を身につければ自然に次の学び事が、言葉は悪いが芋づる式に現れ、そして次々にやるべき事が繋がってくる。そして今度はこれをやれと現われてくるのである。
今回は手の甲と手の平を鍛え、つかう事によって足の裏と足の甲を鍛えつかうようになったということである。

足の裏と足の甲を上手くつかわないと大きな力は生まれないし、技も上手くつかえない事がわかったのである。しかしこれは力一杯の技と体をつかわないと気がつかなかっただろう。これに気がついたのは諸手取呼吸法で受けと共に力一杯頑張り稽古をしたためである。相手は体重を掛け、力一杯こちらの手を掴んでいるわけだから、これまでの技と体づかいでは相手を制することは難しい。新たな技、体づかい、息づかいが必要になるわけである。
その一つが、以前に書いたように、水火で手の平と手の甲をつかうように、足でも足の底と足の甲で足をつかうのである。息を吐く時（水）は足底に気を下ろし、息を引く時（火）はその気を足の甲に上げるのである。
尚、水火の息づかいは体内の息づかいである。口中の息づかいではないので注意しなければならない。

水火での足の裏（足底）と足の表（足甲）づかいをしていくと、水火に合わせて手の平と手の甲が連動して働いている事を実感する。所謂、手掌の手の平と足の底、手掌の手の甲と足の甲がシンクロしているということである
勿論、自然にシンクロするわけではない。稽古を積めば自然にできるかもしれないが、はじめは意識的、人為的、作為的にやる必要があるだろう。
要は、手と足がシンクロするためには腰に働いて貰わなければならないのである。腰を十字に返すことによって手と足の表裏がシンクロするのである。よって腰を、水火に合わせて十字々々に返していく事によって手と足のシンクロが途切れずに続く事になるのである。

もう一つの手掌と足のシンクロがある。
手掌には掌底と小指球と母指球の３点があるように、足底にも踵、小指球、母指球の３点がある。この手掌の掌底と足の踵、手掌の小指球と足の小指球、手掌の母指球と足の母指球がシンクロするのである。尚、このシンクロがわかってくると、足の踵の重要性と手の掌底の重要性がわかり、踵と掌底をしっかりつかうようになるはずである。踵と掌底を一緒につかえば、手も体もしっかりし、諸手取呼吸法も上手くいくようになるはずである。