【第976回】 体を水火で張る

これまで手を鉄棒のようにし、胸を板のように鍛えつかわなければならないと書いてきた。手が弛んだり、胸がしっかりしていなければ、力が出ないし技にならないからである。
技を錬磨していくと、手と胸だけでなく、他の体の部位、要は体全体を張るように鍛え、つかわなければならない事がわかってくる。お相撲さんの体のように張る事である。合気道の修業でどのように体を張るようにできるかということである。
それは“水火”である。天地の呼吸で体をつくり、つかうのである。お相撲さんのような稽古や食事などで張った体をつくるのではなく、天地の息の水火でつくるのである。

体で主要な張る部位は、手、足、胸・背(体幹)、手掌と考える。これらが張らないと技にならないが、鍛えることはできる。どのように水火で鍛えるか、つかうかというと次のようになる。因みに、これまで研究したように、水は息を吐く、火は息を引く。また、水は縮まる、火は拡がるである。
 手: 出す時(縦の動き)は水、横の動きは火
 足: 地に下す時は水、上がる時は火
 胸・背: 息を吐く時(水)は胸、息を引く時(火)は背
 手掌:手掌を張るようにするには、以前から言ってきたイクムスビの息づかいでやればいいが、水火でやればなおいい。

これらの体の部位と体を水火で張るために、

水火で体が張ると、各部位が結び合い、体は一個の塊となる。水火で張った体で拍子を取れば技になる。息陰陽十字の天地の理合いに則った技になるはずである。取り分け足の張りと拍子は大事であると実感する。居合の剣はこの足のようだ。技は足で掛けるとはこの事だと実感する。

因みに、段々わかったきたのだが、頭も水火でつかうようになっているようだ。息を吐く水の時は顔、息を引く火の時は後頭部である。また、腹・腰も
息を吐く水の時は腹、息を引く火の時は腰が働くようである。
水火も奥が深いようである。まだまだ研究の余地があるようだ。