【第970回】 中指と足の三軸

身体の軸に関してこれまで7つに論文を書いた。第964回では「軸をつくる」で、合気道での技をつかうに際して、体の軸は主に三か所あると書いた。体の軸と足の軸と手の軸である。今回は、この続き、つまり新たな発見と間違いを補充し、訂正したいと思う。特に、この三つの内の手と足の軸である。

まず、手の軸である。第964回では「人差し指が手の芯となり、親指が体(たい)、手刀部(小指、薬指、中指)が用(よう)に働く」と書いたが、手の芯は人差し指ではなく中指である。この誤りの理由は、これまで中指を意識しなかったし、つかってこなかったことによる。息陰陽水火や気の流れをつかうようになると中指の重要さ、中指の働きが分かるのである。

中指に関して、新たに分かってきたことを記す。

  1. 中指は手の芯であること。下図でも分かるように、中指が手掌―腕―上腕の中心線をつくっている。つまり、中指は手(手先から肩まで)の芯なのである。
  2. 中指が手の芯であることを感じることも出来る。イクムスビの息づかいで中指→手掌→腕→上腕と水火につかうと、中指からの芯を感じる事ができる。因みに、手掌(手の平)を開き切るのは中指であり、中指が十分伸びきらないと他の指は開き切らない。
  3. 息陰陽水火で中指に気を流して手を出すと、中指から手の中心に気が流れ、手が指先から肩、そして胸鎖関節なで気が満ち、頑強な手、盤石な手、折れ曲がらない手ができる。これまで、手が折れ曲がらないためには、手を円の動きでつかえばいいと言ってきたが、もう一つの方法を見つけた事になる。
次に、足の軸である。第964回では具体的には記していないが、新たな発見があったので記す。
足の軸には三つの軸があることである。
一つは、足首から足底までの軸。二つ目は、膝から足底までの軸。三つ目は、股関節から足底までの軸である。この三つの軸をそれぞれ鍛える事、そしてつかう事が大事であると思う。この足の軸がしっかりしなければ体は安定しないし、いい技にならないからである。
また、高齢になると足がふらついてくるが、この三つの軸を意識して鍛えればいいだろう。街を歩きながら、足首から足底までの軸を意識して歩けばふらつきはなくなるか、よくなるはずである。それができたら、二つ目の膝から足底までの軸。三つ目の股関節から足底までの軸で歩けばいいだろう。