【第968回】 足の親指と踵を結んでつかう

前回「腹と胸の両方をつかう」では、技を掛けるに際して、腹だけをつかったのでは技にならず、腹と胸を結んでつかわなければならないと書いた。腹の単体ではなく、腹を胸とのコンビネーションでつかえということである。
今回はそこで約束した、別の体の部位のコンビネーションである。
それは足の親指と踵の結びである。足の親指と踵を結び、連動してつかうということである。

足底には主要な三点があり、体重がその三点を次のように移動する。
踵→小指球→母指球・親指→他方の踵・・・である。
歩を進める際は、体重をこの三点にのせ、このように移動するということである。これはこれまで書いてきた。
次に、親指と踵の関係を説明する。先ず、母指球は分かりやすく親指とした。同じものであると思うからである。つまり、母指球は体であり、親指は用であると考えるからである。
また、踵→小指球と重心が移るが、相手の早い攻撃などの場合は小指球に体が下りる感じがないし、余裕も無くなる。故に、即、踵→母指球・親指に体が落ちるように感じる。よって、踵→親指→踵・・・とすることにする。勿論、正式には、踵→小指球→母指球・親指→他方の踵と小指球につかわなければならない。

親指と踵の関係を片手取り呼吸法(右半身)で見てみると、

  1. 息を吐きながら、右手と右足を前に進めるが、足は踵→(小指球)→親指と体重が移動する
  2. 親指に体重がのったところで、息を引き乍ら腹を返し、体を反転させると、他方の足の踵がつく。つまり、親指と踵がむすびつかわれるということである。
親指が返って踵がつくということである。他の技、正面打ち一教、片手取り転換法でも有効であるだけではなく、必須であるようだ。
更に、剣の素振り、杖の素振り、抜刀居合、また、舟漕ぎ運動もこの親指と踵のコンビネーションをつかわなければ上手くいかないのである。つまり、この足の親指と踵を結んび、つかわなければならないということは、これは法則、原理原則ということだろう。
因みに、合気剣とか合気杖とかいわれるが、この法則を剣や杖でもつかえるようにする事だと考える。剣道や杖道の型を稽古することではない。