【第968回】 布斗麻邇御霊より割れ別れたる水火

合気は布斗麻邇御霊の形、姿を技に現わさなければならない。これは大先生の教えであり、前回の論文『布斗麻邇御霊の姿を技に現わす』に記した。
合気道は技と体を練って精進しているわけだが、技だけで精進しているわけではない。合気道の技の他に、技とは直接関係のない動作や動きがある。例えば、歩いたり、手を上げ下げしたり、手を横に払ったりする動作である。
これらの動作は技に直接関係ないこともあって、布斗麻邇御霊の七つの形に収める必要はない。布斗麻邇御霊の一部をつかうことがあっても、すべての御霊はつかわない。

合気の技では動作や動きも合気道と言う武道の動作、動きであるわけだから、無駄なく、美しく、力強くなければならない。そのために、合気道の動作や動きにも、技に布斗麻邇御霊があるように、何か法則、原理があるはずである。そう思っていたところそれを見つけた。以前からその原理、原則の存在は知っていたのだが、実際の稽古の実務でつかうことができなかった。つまり、簡単にいえば分かっていなかったわけである。

それは布斗麻邇御霊から割り別れる水火で動くことである。この水火の形を動作、動きに現わすという事である。布斗麻邇御霊より割れ別れた水火の形は次のようになる。

『大本言霊学』(出口王仁三郎著)
次に、合気の動作、動きとこの布斗麻邇御霊より割れ別れた水火の形が動作にどのように結びつくかである。これまで解明できたことを説明する。
  1. 右足を息を吐いて(水)下ろし、次に左足を息を吸って(火)下ろすで歩く。水火で歩く原理である。“出入息也”とあるよう、もう少し複雑な水火の息づかいだが、まずはこの水火で歩けばいいだろう。この水火の原理が乱れれば上手く歩けなくなるという事になる。
  2. 手を横に振る場合は、息を引く、吸う(火)ということである。息を吐く(水)のではない。居合の手を考えれば分かりやすいだろう。
  3. 手を上から下に振り下す場合は、息を吐く。水の息づかいである。息を吸って手や剣を振り落すことはできない。
  4. 等、上から下に振り下ろす場合は息を吐く、水の息づかいである。2.と同類である。
  5. 下から上に振り上げる場合は息を引く、火の息づかいになる。
  6. 円い円は息を吐く、水の息づかい。
  7. 四角は息を引く、火の息づかい。
以上、合気の動作や動きは水火でやればいいということになる。勿論、合気の技にもつかえる。