八力とは一霊四魂三元八力の八力である。開祖が言われる、動、静、解、疑、強、弱、合、分 の八つの力である。合気道は武道であるので、敵を制したり、投げ抑えたりすることも出来なければならない。勿論、これを目的にして稽古をしてしまえば、過っての柔術の次元になってしまい、真の合気道にならない。八力を身につけた結果、相手を制したり、投げ抑えることもできるようにならなければならないということなのである。
相手(敵)を制したり、投げたり、決めたりは技の最後である。そして決めの最後につかうのは八力である。故に、八力は強力であるはずである。強力な力とは、強い力の他、強い吸引力と強い凝結力ということである。
そこで、何故、八力が強力なのかを探究してみることにする。
まず、八力は動、静、解、疑、強、弱、合、分の力であるが、動―静、解―疑、強―弱、合―分と対照力の集合力であるということである。これによって、吸引力と凝結力が出る事になる。
図にすれば下記のようになる。
次に、合気道の技は布斗麻邇御霊の水火の象と合致してつかわれなければならないが、技の最後の決めはにを乗せてにすることである。伊予の二名島+筑紫島=大八島國となる。強力な力が出る八力である。
三つ目は、技は布斗麻邇御霊とあおうえいの言霊でつかうが、八力はう→え→いで生じる。“う”は空の気、“え”は真空の気を生み、“い”でこの空の気と真空の気を結ぶと強力な八力が生じるのである。腹中の気を体の表を流し胸に入れ、胸を腹に押し付けるようにして結ぶのである。
因みに、柔軟体操はこれでやればいい。体は柔軟になる。
相手(敵)が胸を掴んだり、手に触れた瞬間に相手を崩してしまうのはこの八力であると思う。ということは誰にでもできるようになるということになる。合気道は科学であるからである。やるべき事をしっかりやればいいのである。
因みに、八力で制したり、抑えたりした後、合気道には収めの作業がある。とりわけ、固め技ではこの最後の最後の収めが大事である。極めっぱなし、投げっぱなしでは駄目だという事である。しかし、この収めも難しい。何故ならば、八力で技をきっちり決めたり押さえないと収めに入れないからである。