第962回での「円の動き」ではそれまでの円の動きに加え、横の円と縦の円を加えた。この円の動きで技をつかっていくと、これまでの技の効き目は格段違ってくるし、合気道の技をつかっていると実感するようになる。極端に言えば、円の動きだけで相手を制してしまうようになるのである。
これまでは物理的な力での術(テクニック)であり、顕界での世俗的な技づかいであり、合気道に求めていたものとは違っていたのである。
円の動きで技をつかっていくと、大先生の教えである、合気道の技は円の動きの巡り合わせである事を実感するようになる。それまでの円の動きでの技も、複数の円の動きで構成されていたわけだが、更なる円の動きで構成されている事がわかってきたのである。
今回は、前回から見つけた更なる円の動きを記すことにする。
まず、手の円の動きである。手の円の動きには、横の円の動きと縦の円の動きがある。手の横の円の動きは、腹や足を支点にしたものが基本であるが、手首、肘、肩を支点とした円の動きもある。相手との間合いが狭い、言葉はよくないが、接近戦の場合などで長い手をつかえない場合などでつかうのである。
手の縦の円の動きは、手の中指を手の中心(芯)とし、この中心を親指を体にし、小指、薬指を円の動きで返すのである。返す角度はほぼ90度、90度である。
次に、手は上げるのでは上がるようにしなければならない。手を恣意的に上げれば、相手の力とぶつかったり、自分の肩にひっかかったりする。手を上げるという動作は直線的だからである。手を円く動かせば、手は自然に上がるし、相手の手とぶつからずに接し、くっつく。
そしてようやくわかったことがある。
最初に出す手が難しかった。相手が打ってきたり、掴んでくる手に対する手のつかい方である。タイミングが上手く合わなかったり、手が緩んだり、折れ曲がったりするのである。
この問題は、上記の手の円の動きで解決できるようである。例えば、正面打ち一教(右半身)の手である。後ろ足、前足に体重を掛け乍ら、足を支点に手先が縦の円で回しながら、横の円で動く。手先は顔の前で相手の手と接する。つまり、縦と横の動きを合わせてつかえばいいということであるし、片方だけの円の動きでは不完全だということである。円をめぐり合わせなければならないのである。
手と同じように、足にも円の動きがある。足の円の動きである。足首、膝、股関節を支点とする円である。足の円の動きもほぼ90度、90度の返りであるが、足底を踵→小指球→母指球でつかわなければならない。
円の動きが増え、更なる円の動きの巡り合わせが増えたが、円の動きはまだまだ増えるのだろう。