【第964回】 軸をつくる

魄の力で技を掛けていたときは思いもしなかったが、気をつかったり、魂をつかおうとするようになるとそれが大事であることを知らされる。いろいろあるが、その内の一つを今回のテーマとする。
それは芯の通った身体(この後は体と記す)で技をつかわなければならないということである。具体的には体に軸をつくるということである。
魄の力で技を掛けていた時は、手を振り回していたので、体に芯を通し、軸をつくる必要はなかったし、そうしなければならないとも思わなかった。
しかし、気で体をつかい、技をつかうためには体全体を有効につかわなければならない。魂ともなれば、天地宇宙の力もお借りしなければならなくなるので、神々の魂が働いてくれるように体をつくり、体勢を整えておかなければならならない。そのためにも体に軸をつくり、つかわなければならないと思う。

体の軸は主に三か所あると思う。体の軸と足の軸と手の軸である。
体の軸と足の軸は、これまで何度か書いてきた。
前足―腹―手―顔が一軸になる軸が体の軸である。
そして体の一軸の下部の軸が足の軸ということである。体、つまり体重が足にのり足が一軸になる軸である。
これは書き古されたことだが、次の軸は新たな研究成果である。

二つ目は手の軸である。人差し指が手の芯となり、親指がたい、手刀部(小指、薬指、中指)がように働く。手先は人差し指の方向に出すが、親指をたいで手刀部をように円の動きで出す。息陰陽で出すと陰の息で気が肩に集まり、そして肩が開き胸鎖関節に繋がる。手が手先から胸鎖関節の一本の手となる。手の軸である。因みに、手先を人差し指方向に只出すだけでは、手先は十分でないだけでなく、息陰陽での陰の力が十分働かない。手先は掌底から出すといいようだ。足は踵から進めると同じ理であろう。

体を前足―腹―手―顔と軸にするわけだが、手と足は上体と下体に分かれており、固定されていないから軸にするためにも?げなければならない。手と足を繋げて軸にするのは腹である。腹を足先と手先に対して十字に返すのである。腹を返した結果、腹と手と足十字、そして一軸になるのである。尚、腹の返し方は居合腰の腹で鍛えるのがいいようである。

体を軸でつかうことによって、息陰陽水火が働き、強力な力が出るようになることは確かである。軸をつかうとは、軸の移動であり、軸の移動で技と体をつかうということだと考える。
また、軸をつくり、軸をつかうためには、捻じれたり、よじれない体でなければならない。気を満たし、気が流れる鋼板のような、そして軸がある体という感覚である。胸を張り、肩が開いた姿勢である。