技を練りながら少しでもいい技になるように精進している。いい技とは自分で納得、満足できる技である。納得、満足するためにはその技が原理、原則、つまり宇宙の法則に則っていなければならない。しかし、法則は無限にあるようなので一つを見つけ、技に取り入れても、次の法則が現われる。故に、技が完璧になることはないと思っている。出来ることは、完璧に少しづつ近づく事しかない。
片手取り呼吸法や正面打ち一教を中心に繰り返し練り続けている。同じ技を繰り返すことによって、宇宙の法則の原理、原則が一つ一つ積み重なっていくのである。原理、原則の発見と技への取り込みである。
今回はまた新たな原理、原則を見つけたので記しておくことにする。それが今回の主題「円で動く」である。
技において、先ず、手の動きが大事になる。手の動きが悪ければ、片手取り呼吸法では相手に抑えられてしまったり、動けなくなってしまう。いい手の動きの原理、原則はこれまで記してきたようにいろいろあるが、今回は、円で動くである。手は円で動かなければならないという事である。
手が円で動くとはどのような動きかというと、横の円の動きと縦の円の動きである。
横の円とは、腰腹を中心にした手の円の動き
縦の円とは、人差し指を中心に手を縦に返す円の動き
この横と縦の円の動きによって技が生まれるのである。これを、大先生は「円の動きのめぐり合わせが合気の技であります」と教えておられると実感する。
これまでの円の動きめぐり合わせの円は、手の円、腰の円、足の円などの円であったが、これらに新たな円の動きが加わったわけである。
手は単独では円の動きが出来ない。手は、足、腹、顔と共にシンクロして動かなければならないからである。もし、手だけを動かしても、円にはならずに直線的な動きになってしまい、動きが切れたり、止まってしまい技にならない。
よって手だけでなく、足も腹も顔も円で動くことになる。まさしく、更なる円の動きのめぐり合わせである。
しかし、まだ、円の動きのめぐり合わせに関係する重要な部位があるのである。それは以前に取り上げた手掌の三点と足底の三点を共に動かすことである。手の掌底と足の踵→手の小指球と足の小指球→手の母指球と足の母指球をシンクロして動かすのである。この動きによって円の動きはよりスムーズになる。因みに、この足の動きがなく、止まってしまえば、手の円い動きは出来なくなる。技は足で掛ける、手は足でつかうといわれているが、このことだろう。