【第959回】 手首は陰陽の基点

ここ数回にわたって息陰陽の体のつかい方や技を研究してきた。大事なテーマのためか「合気道の体をつくる」だけでなく、「合気道の思想と技」や「合気道の上達の秘訣」などにも分散して書いた。
長年稽古をし、技を練っているといろいろな事がわかってくる。それまで想像もできなかったことや以前ならとても信じることができないことが分かってくるようになるのである。まず、その一つは、何かが分かる事は何かが分からせてくれているということである。何かが教えようとしていると実感するのである。何かが導いてくれると思われるのである。最近はますますそう感じるのである。
直近の導きは本日のテーマである手首である。手首は陰陽の基点であるということである。いつも思うのだが、こんなことはいくら自分の頭で考えても出てくるモノではない。真面目にやって行き詰って先に進めなくなると何かが助け舟を出してくれるのである。

これまで息陰陽水火で体と技をつかおうと片手取り呼吸法や一教で試しているが、まだ不十分で不完全であると感じているので、何とかしたいと思っていたところ、手首をつかえということになったのである。
前回までは「合気道の思想と技」の第956回にあるように「親指と人差し指の△により、人差し指がより強靭になり、更に手・腕も強靭になる」と書いた。(下図)

今回は、これを土台に更なる技をつかうのである。それが手首である。
息陰陽で手をつかい、強靭な手をつくる方法(技)を具体的に記す。 因みに、居合の刀を抜くのもこの陰陽であり、まず、手首の上(肘、肩)の陰で引き、そして手首の下(指、手掌)の陽で切るといいようである。また、剣を振り上げる手もこの陰陽である。
尚、二教の裏の受けは、手首を基点と、息を引きの乍ら手首から上を陰でつかい、そして手首から下を陽になるように鍛錬するものだと考える。
手首は陰陽の基点であり、その重要性もわかるだろう。