【第888回】 最も大切な基本技

これまでも書いてきたように、自主稽古では呼吸法と一教をやっている。呼吸法は主に片手取り呼吸法であり、一教は正面打ち一教である。
正確には分からないが呼吸法は10年以上やっているだろう。
呼吸法をやるようになったのは、有川定輝先生の教えによる。先生は、合気道の技は呼吸法が出来る程度にしかできないと言われたし、実際、先生の稽古時間は呼吸法で始まったのである。準備運動などせずに呼吸法をやられていたのである。

正面打ち一教を始めたのは1,2年前からであるが、何故、正面打ち一教をやるようになったのかは分からない。片手取り呼吸法の目鼻が多少ついたようだから、次をやろうとしたのだろうが、別に正面打ち一教でなくともよかったはずである。何か正面打ち一教を集中してやる理由があったはずである。
実際、正面打ち一教を稽古していると面白い。いろいろな発見がある。宇宙の法則を見つけられるし、基本技を身につける事ができるのである。

先日、正面打ち一教に興味を持ち、そしてそれを集中してやる理由が分かった。
正面打ち一教は最も大切な基本技であることである。最初に習った技が武道では往々として極意技であるが、正面打ち一教はその意味でも合気道の極意技というわけである。恐らく無意識のうちに最初に習った正面打ち一教は大事な技、極意技と思っていたのだろう。
更に、正面打ち一教が合気道では最も大切な基本技であると吉祥丸先代道主が『合気道技法』で次のように教えておられるのである。
「腕抑え(第一教)は、最も大切な基本技であり、合気道では、これ一つ完全に修得すれば他の技はほとんど習わずして会得できるとまでいわれている。すなわち、この修練には、気の作用、入身、当身、体の捌き等、すべてが・・集約されており、殊に腰、膝の完全に調和された動きがその中心をなしている。昔はこれを第一カ条として初心者の第一に修得しなければならないものとされていた。・・・特に坐技一教は最も大切な基本とされている。」(合気道技法 P.97)

『合気道技法』は入門した当時に購入し読んでいるから、この文章の教えも読んでいたはずだが全然覚えていない。が、もしかすると無意識のうちに一教は最も大切な基本技であると知っていて、自主稽古でやるようになったのかも知れない。
理由はともかく、一教を自主稽古でやるのは正解であったということである。これからも呼吸法と一教は出来るだけやり続けていくつもりである。