【第877回】 美わしい楽土づくり

合気道の修業の目指すものは、宇宙との一体化と美しい楽土づくりである。仏教でいう小乗の宇宙との一体化と大乗の美しい楽土づくりである。
宇宙との一体化はこれまでの修行の延長上でやっていけばいいので問題ないが、美わしい楽土づくりをどうすればいいのかは難しい。が、年や体力、気力の事もあるので、そろそろ挑戦しなければならないと思う。
美わしい楽土づくりをこれまでは地上楽園建設とか宇宙天国建設といってきたものであるが、この方が身近で、イメージが持ちやすいのでこれにしてみた。

それでは美わしい楽土とは合気道的にどのようなものであるかということになる。大先生の教えからそれを見てみる。大先生は、「顕幽神三界は、すべて和と統一にしていかなければならない。人類ことごとくも和と統一に結んでいかなければならない。そして、この美わしい立派な喜びの世界を造り上げてこそ、合気の責任を守ることができる。」
大先生は“楽土”とは顕幽神三界であり、美わしい楽土とは和と統一に結んでいる楽土であると云われている。

また、大先生は「この役割は武、すなわち矛の争いを止めさせるところの真の武人にこそ、負わされている大使命であらねばならない。真の武人、すなわち武道家は宇宙より課された、この有意義な大使命を果たすことにより、宇宙を和と統一に結ぶことができる。」(合気神髄 P.42)
この美わしい楽土づくりは、真の武道家である合気道家の使命なのである。

しかし、このような大それたことを一人では出来ない。大先生でさえ出来なかったことなど出来るわけはない。大先生は、「美しき楽土の建設とはいいましても一人では行えません。皆さんが行なうのです。力は民衆にあり。すなわち須佐之男命であります。それが人数そのものの大きな力になって動いていく草薙の剣の御神剣の発動であります。これが合気道です。」(合気神髄P155)

それではどうすればいいかということになる。出来ることを出来るだけやっていけばいいと考える。
まずは、己自身が美わしい楽土づくりを心掛けることである。これがこれからの合気道の修業ということになるわけである。争うのではない和合の合気道、熱と光の合気道、愛の合気道等の探究である。
次は、合気道仲間にも美しき楽土の建設に参加してもらい、一緒に美わしい楽土づくりの修行をしていくことである。
そして、合気道の仲間が社会にそれを拡散し、日本、世界に伝搬していけばいい。
また、人だけではなく、動植物や鉱物など万有万物のための美らしい楽土のためにも、仲よくし、仲間として美わしい楽土づくりをしていきたいと考えている。